ポップアップカード(ハイチの建築)
久し振りになってしまいましたが、ポップアップカードを更新しました。
ハイチの建築です。
写真の建築は首都ポルトープランスにあるポルトープランス大聖堂です。(ノートルダム大聖堂と呼ばれることもあります。)
2010年1月12日発生したハイチ地震で、多くの建物が被害を受けました。死者の数も正確に把握できなかったようで、当時は20万~23万人と政府内でも異なる数字が発表されていました。2011年時点で、死者は31万6千人以上だと首相が発表をしましたが、正確な数字の把握は困難です。
ハイチ地震から10年後について、ナショナルジオグラフィックに記事が掲載されていました。
一部引用
「現実には、震災から10年経った今も、ハイチの現状は復興からはほど遠いものだ。政治的な対立が原因で企業は倒れ、経済は停滞。外国からの援助も下火になった。
確かにポルトープランス全域を覆っていた瓦礫や、ありあわせの材料で作ったテントだらけの街並みは姿を消した。一部だが定住区域もできた。しかし、電気も衛生設備もなく、治安も悪いまま、3万2000人以上にのぼる被災者が今も暮らしている。
ハイチでも特に有名な建物が大聖堂と大統領府だが、これらもいまだ再建に手がつけられていない。米国とフランスが1億ドルかけてつくると約束した公立病院も建築開始から6年たっても完成からは程遠く、費用をめぐる争いで工事自体が中断されたままだ。」
(引用おわり)
「Port-au-Prince Cathedral」で画像検索をすると、倒壊して壁だけが建っている大聖堂の写真が数多く出てきます。それにまじって、地震倒壊前の写真も数多く残っているので、今回のポップアップカードはそれらの写真を参考にして制作しました。
型紙を公開していますので、よろしかったらお使いください。
もう一点。こちらも上の記事に出てきましたが、大統領宮殿(大統領府)です。
こちらは、当初は修復の話もあったそうですが、断念して2012年に撤去されたそうです。
そのためタイトルを「旧大統領宮殿」としました。
ハイチのポップアップカードをつくりにあたって、ハイチのことを知るために読んだ本の一冊。
以前ツイッターの方に書いたので、それを自己引用します。
(ツイッターより)
ハイチのポップアップカードを作っているので。
「ハイチの栄光と苦難 ー世界初の黒人共和国の行方ー」(浜 忠雄 著・刀水書房・2007年)読了。
「ハイチ革命は「近代史上唯一成功した奴隷革命」とされますが、その栄光の歴史を持つハイチが、今日、このような国情となったのはなぜなのか…」(p16)
その要因として筆者は二点挙げている。
1)産業構造が脆弱なこと。プランテーション時代のモノカルチャーから脱却できない。
2)国民的統合の欠如。黒人であるかムラートであるかの違いが、階級的・政治的関係を規定してしまっている。
しかし、原因をハイチ国内だけに求めるのではなく、宗主国だったフランスや、カリブ海域、さらにアメリカ大陸の状況なども含めて、当時の世界情勢や産業などの面から述べられている。
後半は、「過去の克服」について。21世紀が、植民地支配の問題を解決する世紀であってほしいと。
世界遺産の話が出た部分。
ハイチは独立(1804)以降もフランスによる再征服と奴隷制度復活の脅威に晒されていた。
世界遺産のラ・フェリエール要塞は、ハイチ独立後にフランスの「再征服」に備えて国土防衛のための最後の砦として築かれたものである。…と本書にあった。
(引用以上)
それから、今回はカードにしませんでしたが、ハイチの伝統建築に「ジンジャーブレッド様式」という建築様式があることを知りました。
元在ハイチ日本国大使の八田善明さんが、「ハイチ便り」に書いていらっしゃいます。
こちらの建物も、カードにできればいいなと思っています。
とりあえず、現状ではまずは各国の建築を少しずつ増やしていくことが目標ですが。
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