ポップアップカード:リューベックの建築

2022-10-17

リューベックは、バルト海に面する北ドイツの都市。中世ドイツ諸都市の経済共同体だったハンザ同盟の中心都市として栄えた。1987年には「ハンザ都市リューベック」として世界遺産に登録されている。

リューベックという町が建設されたのは1143年。ザクセン大公の臣下であるホルシュタイン伯アドルフ2世が、ライン川流域などの住民を募って都市を建設した。
1157年の大火で町は失われ、市民から再建を求められたザクセン大公ハインリッヒは別の場所に町を建設したのだが、もとの場所の方が地の利に恵まれており、ハインリッヒがアドルフから元の町の土地を買い取って再び町を建設したのだという(1159年)。

13世紀に入ると、バルト海沿岸にロストク(1218)、ヴィスマル(1229)、シュトラールズント(1234)が建設され、地元の領主によって公認された。
1259年にロストク・リューベック・ヴィスマルの3都市が、陸海路の安全保護を目的に協定を結んだのが、ハンザ同盟の始まりだと言われている。

通商路の確保という共通目的のため都市間の結びつきは強まり、14世紀後半にはハンザ総会という都市会議が定着した。年に1~2度(不定期)の開催で、通商や商人の権利、また軍備問題なども話し合った。

ハンザ同盟に加わった商人たちが扱った商品で主要なものは,フランドルの織物やバルト海のニシンがある。木材や琥珀、穀物、動物の毛皮なども重要な商品であった。
リューベックの南約80kmのリューネブルクでは岩塩の採掘が行われており、リューベックに運ばれて、ニシンの樽詰めに使われたり、塩のまま各地に輸出されたりしていた。

さて、やっとポップアップカードの話になる。

今回のカードのモデルは、リューベックにある「塩倉庫」である。
リューネブルクから運び込まれた塩はここに保管されていた。
現在の建物で一番古いものは1579年に建てられ、新しいものは1745年の建築だという。
後には他の商品(布や穀物、木材)の保管にも使われるようになった。

1942年に、戦争で社屋を破壊された衣料品会社がここに入居し、以後修復をして現在も使い続けている。

現時点では、リューベックの塩倉庫のポップアップカードを作っただけだが、他にも関連建物のカードを作成して、メインサイトに掲載しようと思っている。

さて。1669年のハンザ総会を最後に、ハンザ同盟は実質的に終わりを迎える。しかし、リューベックとハンブルク、ブレーメンの同盟は20世紀まで断続的に続いていたそうだ。
そして1980年、リューベック市長の呼びかけで、新しくハンザ総会「Hanse Tag Neuzeit」が発足した。バルト海沿岸諸国の約100の都市が毎年集まり、政治や観光、芸術などのテーマについて話し合っているそうだ。

【参考】「旅名人ブックス 北ドイツ 中世ハンザ都市物語」文:谷克二・長坂邦宏、写真:小嶋三樹・武田和秀、編集旅名人編集室、日経BP企画、2006年第3版