ラ コリーナ近江八幡
近江八幡市で和菓子や洋菓子の製造販売をしている「たねやグループ」が、メインショップや製造工場・農場等をもつ商業施設を2015年(平成27)にオープンした。
場所は、ヴォーリズの設計したツッカーハウスのすぐ近くだ。

駐車場に車を置き歩いていくと、草屋根の建物に出迎えられる。訪れたのが12月なので黄色になっているが、夏はもっと緑が鮮やかなのだろう。この建物はメインショップで、名前もそのまま「草屋根」である。
設計したのは藤森照信氏だ。
ラ コリーナとは、イタリア語で「丘」を表す語だそうで、「たねや」は丘や棚田などをイメージした施設を作ろうという願いがあって、藤森氏に依頼をしたようだ。
藤森氏はわらぶき屋根に関心があり、以前から全部草で包まれた建物を作りたいと思っていたという。それがこの草屋根という形になったそうだ。(インタビュー動画より)
近江八幡を訪れる少し前、たまたま私は藤森氏が作った縄文住居「古過庵」(長野県茅野市)を見に行き、日本や北欧の草屋根・土屋根についての彼の講演を聞いていた。
そのためこの建物の設計意図も分かりやすかったように思う。
藤森氏は建築と自然との関係が大切だと考えている。しかしこの規模の建物になると木造では困難なので、構造体は鉄とコンクリートで作るしかない。現代の技術で骨組を作って、そこに自然をうまく着せていこうという考えたそうだ。
屋根のてっぺんに松が植えられているが、いろいろな木を試して枯れたりしてだいぶ失敗したらしい。継続的にメンテナンスをしているのだが、だいぶ手間が掛かるようだ。

草屋根の軒下。
壁塗りは従業員や大学生などが参加したワークショップ形式で行なった。80名くらいが参加したそうだ。

入口のところに施設の案内図があった。図の左側が駐車場、左から三分の一くらいの位置に草屋根がある。その右側の中央広場は農地になっている。農地の西側(図では上)は回廊で囲み、その外側にはフードコートやショップが並んでいる。
農地の東側にはカフェやオフィス、製造工場がある。
図の右側の灰色部分は新店舗の予定地と書かれていた。

メインショップを通り抜け、中央広場に出た。アニメに出てきそうな正面の建物はオフィスで、観光客は入れない。ただ、丸い塔のような部分は展望台になっており、有料ツアーを申し込むとあそこに登れるらしい。(バームファクトリーと展望台で料金は4,400円だそうだ…。)
左側の奥にあるのはバームファクトリーで、上から見ると建物に大きなバームクーヘンを載せてあるように見える。
手前の農地は水田のようだ。

農地の西側の回廊。右側の畑ではこの日も農作業をしていた。

農地の間の通路には、童話の中の家のようなオブジェがあった。ドアは子どもしか通れないくらいの小さなもの。

この建物はショップとカフェ。中は見ていないけど。

ここはトイレ。

見学時はこれが何だか分からなかった。施設のサイトを見るとたねやグループでは毎年ヨシ刈りを行なっている。刈り取ったヨシは乾燥させて秋に行なうこの施設のイベント「近江の祭り たいまつ」で使う松明作りの材料にするそうだ。

実際の祭では市内の集落で作った松明を、3月〜5月に各地域の神社に奉納するというものだそうだ。松明は地区ごとにいろいろな形があって、上の写真のものは南津田町の「曳きずり松明」と「振り松明」だということが分かった。
草屋根の西側にも松明が立っていたが、こちらは小田町の「笠松明」というものだった。

近江八幡の伝統行事を伝える意味で、イベントとしてここで松明を作って展示しているという。全部で5種類の松明を展示したそうだが、展示予定は12月中旬頃までとあったので、今はもうないのだろうと思う。
メインショップで私もお菓子を買って見学を終えた。

草屋根の西側にも展望台のようなところがある。多分上がることができるのだろう。次に訪れる機会があるなら、緑の濃い夏の景色を見たいと思う。
【参考】
「藤森照信 日本芸術院賞受賞インタビュー」たねやCLUB HARIE (YouTube/2020-06-21)
「近江の祭 たいまつ ─前編─」(ラ コリーナ日誌/ラ コリーナ・ウェブサイト掲載/2025-11.27)
【関連ページ】
「『古過庵』を見に行く」(2025-12-01)





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