旧志賀小学校で映画上映会
長野県佐久市にある旧志賀小学校で6月20日~22日に映画の上映会が開催された。
主に旧志賀小学校で撮影した「ハオト」という映画だ。

駐車場には十数台の車が留まっている。公共施設はやはり人が集っているのがいい。
上映会は1日目は午後2回、2・3日目は午前1回午後2回の上映で、その前に校舎見学ができる。今まで私は校舎の外側しか見学できていないので、内部に入れることにワクワクしながら参加した。
ただし、今回中に入れるのは北校舎だけである。
映画「ハオト」の撮影は2023年と24年に主に旧志賀小学校で行われた。
今回の上映は、撮影に協力してくれた地元への感謝と、志賀小学校を活用する手伝いをしたいということで実現したそうだ。
今年の8月8日から公開開始だということなので、撮影地である旧志賀小学校での事前特別上映ということになる。
ところで映画を見終わってから気づいたのだが、舞台が80年前の戦時中だということで、校舎の1階のアルミサッシの枠を茶色に塗ってあったのだ。(撮影時は網戸は外していた。)
私は今年の4月にもここを訪れていたのだが、その時既に茶色に塗られていたことに全く気づかなかった。気づかずに過去記事に写真を掲載していたのだ。


2023年4月の写真を見返したところ、私の記憶にあるように窓枠はシルバーだった。
気になったのは、普通は撮影に使った後に元の状態に戻すだろうということだ。これはこのままでよいと佐久市が認めたということなのかな? もう使っていない施設だということで。
正直言って、茶色に塗ってもサッシだということは画面で分かってしまったのだが。
映画の最初ではそんなところを気にした私だったが、でも、この映画が演劇的な映画だということに気づいたらもう気にならなくなった。
映画の公式サイトを見ると、2005年に上演された創作舞台劇がもとになっているそうだ。
演劇なのだから、大道具の細かいところを気にしてもたいした意味はないのだ。
しかも今回は、その舞台である旧志賀小学校での上演だ。まさに自分が今いる場所で劇が演じられている気分になっていった。
上映会場は旧教室のひとつだった。座席数を数えなかったが、40人くらい入っていたのだろうか。私が見た回は満席だった。
佐久市民のなかには撮影にボランティアで参加したり、エキストラとして出演した人もいたようだ。その人たちにとっては、自分たちの映画が形になっという感慨があっただろう。

校舎内には、演者の姿や撮影風景などスナップをまとめたものが掲示してあった。ボランティアスタッフの姿も写っている。
これは受付前の話だが、早めに着いたので敷地を歩き、校舎の窓が開いているのを見て新鮮な気分になった。今までは人がいない校舎しか見ていなかったから。
1階の端の部屋は当日はカフェとして利用されていたのだ。建物が使われているというのはやはり良いものだ。

今回の上映会には、佐久市教育委員会文化振興課、佐久市観光課とともに、「旧志賀小学校保存・活用有志の会」も協力をしている。
当日配布されたチラシには、有志の会からのメッセージが書かれていた。
その一部を引用する。
「私たちは、明治時代に建てられた大切なこの建物を保存し、有効に活用してみんなが集まりやすい場所、地域の皆さんが楽しく元気に暮らせるような場所にしようと活動中です。」
「建物は佐久市の所有のため、保存活用するには、地域の多くの皆さんが賛同し、利用する施設であることが必要です。」
「校舎を保存しましょう」と呼びかけるのではなく、活用して人々が集まれる場所にすることを目標にしているところが良いと思った。
建築に興味がある人はつい建物の保存を言いたくなるし、他の建物の例だが「使わなくても保存しておくだけでもいいんだ」とまで言う人もいる。しかし、使わずに形だけ保存したつもりで腐っていった建物がいかに多いことか。
建物は使ってこそ、その価値が生きると思っている。
どんどん使ってそれで地域の暮らしが豊かになればそれが一番いい。
ただし建物を継続的に使うとなると、耐震性など安全面についても求められるだろう。トイレ等の設備をどうしていくのかも考えなくてはならない。
そのあたりを所有者の市とどう調整していけるのか。
いろいろと課題はあるだろうと思うが、保存・活用有志の会の活動がうまくいくよう応援している。

(今回の記事は建物ではなく「まちづくり」のカテゴリーに入れた。校舎内の様子は別に記事を書く。)
【関連サイト】
「映画『ハオト』公式サイト」
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