親沢橋
前回、中島武設計の昭和橋について書いた。
彼の設計した他の橋も確認しようと思って、今日は小谷村にある親沢橋を見に来た。
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現在の国道148号線から旧道に下りて進むと、この橋が見えてくる。
橋の長さをなるべく短くするためだろう、道路と直線にせずに少し曲がっているのも古さを感じさせて味わいがある。
親沢橋は、1937年に築造された橋だ。姫川に流れ込む親沢という川に架けた橋なので親沢橋という名前になったようだ。
国道148号線の旧道にあるが、建設当時はまだ国道になっておらず県道27号糸井川松本線という名称だったはず。鉄道の大糸線が道路に並行して走っているが、鉄道は1935年に開通したばかりだ。
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ではさっそく渡ろう。橋の長さ28.8m、幅は5.5mだ。
橋の向こう側に見える白い看板はダムの放流について注意するもので、橋とは直接関係がない。
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橋の北側。
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端に三本線の模様が入っているのが私のお気に入り。
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2002年に土木遺産に選奨された後に小谷村は予算を組んで、2004年に補修工事を行なった。実はその補修工事の前は、この三本線の模様はモルタルで塗りつぶされていて見えなかったそうだ。昔やった改修のときに塗りつぶしてしまっていたらしい…ポイントになる装飾なのにな。
改修工事で模様があったことが判明して、無事再現された。
補修工事はICR工法(Integrated Concrete Repairing)が採用された。劣化したコンクリートをそぎ落とし、触媒を塗布・充填して化学反応でセメントを結晶化するというものらしい。
(検索すると、金属疲労に対する工法としてICR工法 あるいは ICR処理というものも出てくる。同じ名前で別の種類の工法があるのだろうか。)
左側の下部に「土木遺産」のプレートが付けられている。
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Google Map の写真を見ていて気付いたのだが、2004年に撮影された写真には、橋の横に点線のような木製の説明板が立てられていたようだ。(説明板の日付は2003年。)
雪のために長くは持たなかったのだろう。
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もうひとつ気付いたのだが、2004年の写真を見ると、端に立っている鉄筋がないように見えるのだ。鉄筋は上の3枚の写真にそれぞれ写っている。
補修工事の時になかったのなら、この鉄筋は一体いつ、何のために取り付けられたのだろう。橋の四隅に鉄筋はあった。
横の土手に移動して撮影。こちらは橋の西面になる。
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川原に下りてみた。
鉄道の鉄橋の奥に親沢橋が見える。
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親沢橋の近くまで移動。橋の下面はこのようになっていた。
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さて。次の橋に向おう。
小谷村には、もう一つ中島武設計の姫川橋があるのだ。
…が。
工事中で通行止めだった。
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姫川橋は2024年の9月17日から12月20日(予定)まで橋のメンテナンスのため全面通行止めなのだ。
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最後の写真は移動して反対側から撮影したが、渡れないのでは仕方ない。また来年にでも訪問しよう。
【参考】
「『近代土木遺産・親沢橋』の補修復元工事について」(落合一視・小西純一/土木史研究講演集 vol25/2005)
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