安東邸はなれ
長野県飯田市にある安東邸はなれ。明治大学の建築・アーバンデザイン研究室の学生たちが、数年前からこの建物を活用しようというプロジェクトに取り組んでいる。
今年の10月と11月に途中経過を公開するイベントがあったので、イベント最終日の11月3日に様子を見に行った。
安東邸はなれは春草通りに面して建っている。この写真では左側の奥に向っている道路が春草通りだ。春草通りという名は飯田市出身の画家の菱田春草にちなんで、最近(2015年頃)付けられたものらしい。
私が安東邸のことを知ったのは2023年のことで、5月に「安東邸片づけ」を一般公開したのを見に行ったのが最初だ。
建物は1933年(昭和8)に建てられたもので、1970年代までは使っていたが、その後は物置状態だったという。
2023年
まずは、昨年の様子から書いていこう。
入口の脇にポスターが掲示されている。
(今回の記事で掲載する写真は、昨年撮影したものだけ撮影日を入れてある。日付のない写真は2024年11月の撮影。)
そのポスター。
空き家活用プロジェクトとして、その過程を公開しながら進めていくということが書かれている。
このプロジェクトは飯田市中心市街地活性化基本計画「空き家・空き店舗活用事業」の一環で、市商業観光課からの委託事業として実施されているという。
この日は屋外では学生たちが片づけ作業をしていたが、建物内部の撮影は可能だということだったので写真を撮らせてもらった。
これは1階の部屋。玄関を入って右側にある、この建物の中では大きい部屋だ。
この建物は昔は写真店で、この小部屋は現像室だったようだ。
引き延ばし機らしきものが置いてあった。
問題は2階だ。床が部分的に抜け落ちてしまっている。
上を見上げると、天井にも染みが。雨漏りがかなりあるようだ。
この状況を見ていたので、建物をどうしていくのだろうと思っていた。
2024年
そして1年6ヶ月後。
今年のイベントではランチや鹿皮グッズの販売、写真の展示を行なっていたが、建物はまだ改装途中だ。今後はサテライトオフィスとして活用するという方向が出されている。
2階の床は中央部分を撤去して吹き抜けにしてあった。仮設の柵を作ってある状態。
床も仮貼りといった雰囲気だ。
吹き抜け部分を下から見上げた。
天井板も外してあるが、屋根に穴が開いている部分もあった。雨漏りは早めに止めないとね。
吹き抜けはこのままにするのだろうか。
2階を歩いた感じでは、動線が制限されてちょっと使いにくい印象を受けてしまったけれど。
でも建物の使い方によって適切な形は変わってくるし、今後の使い方を検討したうえで改修の方向を決めたのだろう。まだ整備の途中なので今後変わるかもしれない。
2階の片隅に、安東カメラニュースという冊子があった。
このカメラ店が独自に発行していたようだ。
今回の展示では、この建物で発見されたネガフィルムを現像した写真を展示したという。
見学者が気付いたことを写真の脇にメモとして残せるようにしてあった。
見上げると、棟木に棟札が付けられており「昭和8年6月7日」の日付が見えた。
昨年の新聞記事を見ると「大正末から昭和初期に建てられたらしい」と書かれていた。この棟札が見つかったので建築年が判明したのだね。
建物は使うことが大切だと思っている。活用しながら、上に書いたような建物の歴史も残していけると良いと思う。
どのように改修が進められていくのか、今後を楽しみにしている。
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