小山敬三記念館

小山敬三美術館の隣に、小山敬三記念館がある。
この建物は、小山敬三のアトリエを移築したものである。

小山敬三(1897-1987)は、1920年(大正9)にフランスに渡り絵の修業をしていた。
1928年(昭和3)に帰国し、翌年神奈川県茅ヶ崎市南湖(当時は茅ヶ崎町)に住宅兼アトリエを建てた。
それがこの建物である。

前回訪れた時は開館していなかったので、中を見るのは今回が初めてだ。

建物の前に説明板がある。
アトリエの建築には小諸の木材も使ったこと、フランスから暖炉や家具を取り寄せたこと。
小山の遺志により、遺族から小諸市に寄贈されたことが書かれている。
説明板が建てられたのは記念館が開館した2002年(平成14)だ。

中の撮影が可能か聞いたら、展示資料の撮影は禁止だが、部屋全体の撮影はしてもよいということだったので、何枚か写真を掲載する。

広角レンズで撮影したので歪んでいるが、玄関の内側。

ここはリビングルーム。

アトリエは天井が高い。
アトリエは、小山がパリで使っていた部屋をそのまま模して設計したそうだ。
中央やや右に掛かっている絵は「松苑」という題名で、茅ヶ崎のアトリエの松林を描いたものである。

この写真で、天井の高さが分かると思う。

アトリエ部分を外から見たところ。

回り込むと、隣に美術館の第二展示室がある。

小諸市のサイトによると、「茅ヶ崎のアトリエと住居の一部」が移築されたとあるので、移築前の住居部分はもう少し大きかったようだ。

アトリエがあった茅ヶ崎の南湖は、戦前は松林が広がる別荘地だったという。終戦後に松林が切り払われどんどん住宅地に変わっていって、小山のアトリエ周辺だけ松林が残っているような状態だったようだ。

茅ヶ崎のアトリエの位置は分かっているので、1977年に撮影された航空写真を確認してみた。
写真中央の、木々に囲まれた建物が小山のアトリエだ。
小山自身が「わずかな我が家の松林」と言っているのでもっと狭いのかと思ったら、私の想像より広かった。

アトリエの移築後はここも住宅地となった。別荘地だった面影はもうない。

【参考】
まち・ひと・茅ヶ崎の煌めき 小山敬三」(茅ヶ崎市観光協会サイト)

甲信越地方

Posted by Sakyo K.