旧都城市民会館を形に残す

2021-03-20

2019年2月5日、都城市は最終的に「旧都城市民会館を解体することにした」と発表しました。今後は旧市民会館の解体工事費を計上して市議会に提案、予算案が3月の議会で可決されれば19年度に解体業者との契約を進める見通しだそうです。

市は、後継施設の都城市総合文化ホールを作った時点から旧市民会館は解体するつもりだったので、今さら解体の予算案が否決されることもないでしょう。

2月4日付でイコモスから解体を取りやめるよう文書が出されています。しかし市は方針は変える予定がないことを表明しています。(NHK 宮崎NEWS WEBより)

個人的には古い建物を残す方がうれしいのですが、残すのにも費用が掛かるし、市の財政からするとそれを最優先できないという都城市の立場も分かります。

建築学会やイコモスはずっと「建築的価値」を主張していますが、都城市は建物の価値を理解した上で解体せざるを得ないといっているので、会話が成り立たないように思います。

私は建物は本来「保存」するものではなく「使う」ものだと思っています。「建築の価値」ということだけで、地方自治体が使いもしない建物を維持管理できるはずもないでしょう。

私は建築の専門家でもないし、保存問題について主張する能力があるはずもないので、ただ「都城市民会館に関心を持っているよ」という意思表明として先日ポップアップカードを作ったわけです。

正直、積極的に保存を主張したいわけでもありません。解体は仕方ないのかな、という感じです。

でも、ただ建物を解体して終わりというのは嫌ですし、残すにしろ壊すにしろ無関心のまま見ているだけでは建物が可哀想じゃありませんか。

まあそんな思いからポップアップカードを作って、11月にサイトに掲載したわけです。

繋がっている部分が細くて開閉が不安定だし、補強パーツを変則的に使っているので、型紙は非公開としていましたが。

当時、実際の建物の方は日本建築学会の要望で「1月末まで活用案の提案を募集する」状態でした。2月に入って結局解体方針が決まったので、先日ツイッターに再度写真を掲載したところです。

ただ、白いポップアップカードを眺めていても、自分の中ではこの建物をまだ全然把握できていない気がしたんですよね。もう一度カラー版のポップアップカードを作れば、もう少し建物に近づき理解できそうな気がしたのです。

それから一番は、建物を解体するにしても、なんらかの形で建築の姿を残す必要はあるだろうという思いです。都城市も模型や映像で記録は残すそうですが、こっちはこっちで自分のできることを勝手にやらせてもらっています。

カラー版ではいくつかのパーツを別パーツにして接着し、前回より安定して開閉ができるように考えました。カード本体部分(A5)と各パーツを、A4用紙1枚に収めてみました。

現時点ではメインサイトの方には掲載していません。ブログだけの掲載ですが、ご覧下さい。(追記:サイトの方にも写真を掲載しました。ただし型紙は公開していません。)

本当は実際の建物を見たいところですが、九州は私にとって遠すぎます。

せめて、このカードを作ることで、関心を持っているということを伝えたいと思います。

【追記】(2019.02.11)カラー版の写真を入れ替えました。