旧長野県庁書籍庫

長野市の信州大学教育学部の敷地に、旧長野県庁書籍庫がある。
10月にそこを会場にした展覧会があったので、訪問することができた。
ただ、展覧会だったので内部の写真は撮影していない。外側の写真だけ掲載する。

北側の公道から見た建物。煉瓦積みの書庫だ。

大学の敷地に入り、建物を南側から見る。書庫は石垣を積んだ土台の上に建っている。
撮影している私の後ろ側は大学の校舎がある。

建物の横には、登録有形文化財のプレートと、説明板がある。
その横のポスターは、この日開催されていた、「柳沢京子きりえ展」のポスターだ。

登録有形文化財に登録されたのは2008年7月のこと。
登録名称は「信州大学教育学部書庫(旧長野県庁書籍庫)」となっている。

プレートの説明の冒頭部分を書き写す。

「この建物は、明治28年(西暦1895年)に長野県庁舎の書籍庫として建設されました。当時の県庁舎において現存する唯一の貴重な建物です。明治41年(西暦1908年)5月の県庁舎焼失を機に県庁舎は現在の南長野に新築移転しましたが書庫は焼け残り、明治44年(西暦1911年)に長野師範学校(現信州大学教育学部)が譲り受け、18,000冊ほどの書籍を保管していました。入口上部の庇がなくなっているという点を除き、構造やデザインはともに建築当時の姿をとどめていることから、平成20年(西暦2008年)7月23日に登録有形文化財(国土の歴史的景観に寄与しているもの)に指定されました。」

焼失前の県庁の写真を探してみたが、はっきり写ったものは少ないようだ。
1900年(明治33)に出版された「善光寺案内」に写真があったので掲載する。(出典:信州デジタルコモンズ)

煉瓦造二階建で、屋根は瓦葺き。
建物の中央部に色の違う煉瓦で帯が入っている。この煉瓦は「焼過煉瓦」と呼ばれるものらしい。
小屋組みは松材による木造洋小屋組み。

北側の窓の一つ。

東側も石垣になっているので、見上げて撮影した。
東西の面には窓はない。

こちらは南側2階の窓。

入口の様子。

2014年(平成26)に発生した神城断層地震により、内部の書棚や壁が崩落してしまい、書庫としての機能が果たせなくなっていた。しかし建物そのものは堅牢で大きな被害がなかったという。
信州大学教育学部同窓会がこの建物を後世に残し、同窓会館としても活用していくために整備することになった。

2017年(平成29)3月から8月に整備工事が行なわれ、「信州大学教育学部同窓会 赤煉瓦館」と名付けられた。8月11日に竣工式を行ない、同日、同窓会創立30周年式典で「赤煉瓦館」整備の経過報告がされるとともに、建物は学部に寄贈された。

甲信越地方

Posted by Sakyo K.