松門文庫
もう1ヶ月以上前のことだが、松本市立博物館で講座があったので参加した。
「松門文庫から紐解く松本の近代建築史」というタイトルだ。
講座は18:30からの開催だったので、夜の博物館に自分がいるというのも楽しかった。
私は松本の近代建築史に興味があるので参加したのだが、これまで「松門文庫」のことを全く知らなかったのだ。
松門文庫は松本市の浅間温泉にある建物で、1919年(大正8)に建てられた。
浅間温泉で蚕種製造業「たまりや」を営んでいた二木洵(ふたつぎまこと)が、実父の窪田畔夫(くぼたくろお)が収集した書籍や書画を一般公開する場として建築したのだそうだ。
私設の図書館兼交流施設のようなものであろう。
窪田畔夫(1838-1921)は、北安曇郡長や長野県会議員、帝国議会衆議院議員を務めた政治家である。議員になる前は新聞を発刊して民権運動を進めた。また絵や漢詩を創作する芸術家でもあった。号を松門と名乗ったので、建物の名が松門文庫という名になったようだ。
松門文庫は現在非公開だが、2018年に市議会で議論され、2021年には地元の有志が「松門文庫をひらく会」を結成して、松本市に保存活用の要望を出したり、傷んでいる部分の応急処置をするなどの活動をしている。
今回の講座も、信州大学人文学部と松門文庫をひらく会の共催という形だ。
さて。
講演で説明を聞いたものの、私は実際の建物についてはまだ何も知らないのだ。
これは実物を見ないといけないと思い、先日、松門文庫を見に行ったのである。
勝手に見に行ってるだけなので、公道から眺めるだけだが。
これが松門文庫だ。
塀があり、門が閉まっているので、ここからは玄関の形が分からない。
建物の正面から横に移動して眺めると、玄関を見ることができた。
窓の部分は本来は窓ガラスが入っていたのだが、劣化して雨漏りのおそれがあるので応急処置として波板でふさがれている。
一カ所だけ窓ガラスが見えている部分がある。二階は和風の窓で、一階は洋風の窓になっている。
よく見ると玄関部分の屋根も剥がれているし、これは手入れが必要な状態だ。
最後の写真は、カメラを持った手を伸ばして道路から撮影した。
左下の壁も剥落しているな。
講演会で内部の写真を何枚か紹介されたが、1階には洋間と和室があり、二階は和室になっていた。
機会があれば中を見たいが、まずは建物の補修が必要になりそうだ。保存活用がどうなっていくのか、今後の動向を気に掛けていこうと思う。
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