長野県信濃美術館~その3

2021-03-21

(4) HPシェル構造 (つづき)

今回の講演会は,信濃美術館の講堂で行われたのですが,講堂の場所はここです。


ここに部屋があるという意識で見ていませんでした。

現在では、コンクリートでさまざまな形の屋根を作れますが,当時はこの形を出すのにはHPシェルが先端技術だったそうです。善光寺に隣接した場所にふさわしい屋根の形にするということで、この形に決まったそうです。また、HPシェルは内部を無柱空間ができるので、この空間を展示室や集会室として利用する設計になりました。

屋根が斜面になっているので、内側にある講堂は,階段状の天井になっています。今はふさがっていますが、以前はこの階段状の天井に採光の窓があり、内部は明るい部屋だったそうです。
そのときの様子を見たかったです。

今回の展覧会の会期中,美術館にこのシェル構造の屋根の6分の1の模型が展示されています。
7月に,美術館のワークショップとして信州大学の学生が計画し,参加者(子供から大人まで)と一緒に模型を完成させたとのことです。

(5) 設備機器も主役

建物は目立たず控えめに…というわりには、普通目立たせないものを目立たせたりもしています。


これは裏側の風景ですが,テラスのところにあるのは発電用の煙突です。もうテラスのど真ん中に設置しています。
この写真では分かりにくいですが,三角屋根の正面の柱と煙突と、同じ高さに揃えてあるとのことです。


こちらは正面部分ですが,オレンジの矢印で示した黒っぽい箱は空調関係の機械室なんだとか。普通正面のど真ん中に置かないでしょう?
という感じに,設備を表に出してくるという特徴もあり、面白いと思いました。

(6) 当時の設計図

設計者の林氏は設計当時30代、彼の率いるチームメンバーは20代の若者だったそうです。
展示会場には,当時の設計図も展示されています。昭和40年8月の日付が入っていました。
当時の日建設計の工務の設計図面は、美濃紙に鉛筆で書かれています。林氏は学生時代から丁寧な図面を書いていたそうです。設計図面に個性的な文字で書き込むことを嫌い、設計チーム全体で同じ書体を使うようにしていたとのこと。始業前にグループで同じ文字を書く練習もしていたそうです。
私は最近は手で文字を書くことがほとんどなくなってしまいました。

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というわけで、講演会の内容と展示とを合わせてまとめてみました。
せっかく講堂で話を聞いたのに,講堂の内部を撮影してないのが心残りですが。

信濃美術館の休館前最後の展覧会は,9月30日(土)までです。(水曜休館)
設計関係の展示の他に,若手作家の展示とコレクション展もあります。