拾ヶ堰に沿って自転車で(2)

前回のつづき。拾ヶ堰から少しだけ外れて寄り道をする。
目的地はこちら。以前から気になっていた、旧信濃教育会館だ。この日はちょうど小中学生の作品展が開催されている期間にあたっているので、展覧会を見るのと同時に建物の中も見ようと思ったのだ。

この建物、もともとは1929年に長野市で建てられたものなのだが、新しい会館を建設することになったので1990年にこの場所に移築されたのだという。現在は信濃教育会生涯学習センターとして使われている。

2000年には登録有形文化財として登録された。
文化遺産オンラインには「設計は宮原工務店の小林弥吉,施工は県内の官庁建築物を多く手がけた宮本長作」とある。

そして、解体復元移築工事の設計監理を請け負ったのは宮本忠長建築設計事務所なのだが、「奇しくも忠長氏は、昭和4年に本館の工事を請け負った宮本長作氏の孫にあたられます」とセンターのパンフレットに書かれていた。

ただ、ちょっと不思議に思ったことがある。宮本忠長氏の聞き書きの記事が2008年に「週間長野」に掲載されていて、現在もアーカイブ記事がネット上で読める。
その中で、忠長氏は昭和2年生まれで、彼の祖父・長作はその2年前に亡くなったということを忠長氏ご本人が語っている。昭和4年には既にこの世にはいないことになる。

おそらく宮本長作が率いていた「宮本組」の仕事として施工を請け負ったのだろうと思うのだが、契約時は長作が存命だったということなのだろうか。それともどこかに勘違いがあるのかなあ。(よく分からないのでここだけ文字色をグレーにしておく…)

さて。まずは作品展を見ることに。2階の講堂・展示室が会場で、部屋の前には例によってコロナ対策の記名用紙がある。作品展を勝手に撮影するわけにはいかないので、会場の写真はないが、小学1年生から中学3年生までの作品が各学年20点ずつ、計180点展示されていた。

さらっと枚数が書けたのは、受付のところに「この絵のここがすばらしい」という、作品全てについてコメントを書いた紙が置かれていたからだ。この方法はいいなと思った。

建物の方は、階段を歩きながら少しだけ撮影した。

階段下のスペースにテーブルと椅子がおかれてちょっとした休憩コーナーになっていた。ここの雰囲気が好きだ。右上に三角に写っている茶色の部分が階段の側面。

右側の別館は新しい。中は見ていないけれど。

生涯学習センターの前は今は公園になっているが、以前は高家(たきべ)小学校のあったところだ。ここには昭和15年に建てられた西田幾多郎の碑が残っている。(この写真のみ別時期の撮影)

「無事於心無心於事 
 物となって考へ物となって行ふ
         西田幾多郎書」
と書いてある。1行目は唐の徳山和尚の語で、「心に事無く、事に心無し」と読まれている。「心にとらわれや はからいごとがなく、ことにあたっては無心であれ」という意味らしい。2行目はその言葉を西田幾多郎が自分の言い方で表現したもの。(パンフレットの受け売りですよ。)

というわけで、一部ではあるが建物の中も見られたことであるし、拾ヶ堰に戻る。

西へ向かってまた自転車を漕ぐ。もう稲刈りの時期だから、田に水を入れないんだよなあ。だから水草とかも多いんだろうか。パンフレットには残雪のある北アルプスときれいな水路の写真がよく使われている。

稲刈りをやっている田もあった。

自転車道はほとんど平らだが、車道との交差を避けて下をくぐるところもあった。
パンフレットによると、春にはこのあたりは満開の桜並木が1.8kmくらい続くとのことなので、せっかくだからその季節に走りたいな。

ここで自転車道は拾ヶ堰を渡って右岸に移る。

拾ヶ堰県営改良工事の竣工記念碑があった。農林大臣福田赳夫書とある。

このあたりまで来ると、水面の水草も減り、きれいな水の流れになった。自転車道は中央の橋を渡り、再び左岸へ。

「じてんしゃひろば」に到着。ひらがなが正式な表記になっている。自転車道は左岸のまま続いているが、「じてんしゃひろば」は橋を渡って右岸にある。

自転車スタンドも設置してあるので、”ちょっとここで休憩してお散歩でもしましょう”ということだろう。100mちょっと先にはトイレも設置されている。

思わず載せてしまったトイレの写真。

トイレの脇に橋があり、左岸の自転車道に合流する。地元の人がネットに出して欲しいと願う写真って、前回のブログの水路の写真じゃなくてこっちの水面だよなあ、きっと。

さて、どこまで走ろうか。
もう駐車場は過ぎているので、ここから先どれだけ走っても戻ることが確定している。気持ちが揺れる。
実はこのあと、穂高郷土資料館と鐘の鳴る丘集会所へ行こうと思っているのだ。今14:00を少し過ぎたところだが…。

まあ、あと少しだけ進んでみよう。
(つづく)

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