稲荷山公園のコスモタワー

長野県佐久市臼田に稲荷山公園がある。
ここの地形は東側は千曲川が流れて断崖となり、他の三方はなだらかな傾斜をなす丘陵である。
丘の北側の中腹には稲荷神社があり、その祭礼として大正時代に始まった5月の「小満祭」が今に続き賑わっているそうだ。五穀豊穰・商売繁盛を願う祭りだが、戦前は養蚕が栄える祈祷も行なっていて養蚕農家が進んで参拝したという。

この稲荷山公園を桜の季節に訪れた。休日だったので訪問者が多く駐車場が満杯だったが、他の人との入れ替わりで車を停めることができた。
駐車場から桜を眺めながら、中央の階段を上っていく。

階段の上にはこのような塔(展望台)が建っている。今回の記事は稲荷神社の話ではなく、この塔がメインなのだ。名前を「コスモタワー」という。

コスモタワーが完成したのは1988年(昭和63)のこと。
1984年(昭和59)に臼田町に臼田宇宙空間観測所が設立されてから、「星の町うすだ」をスローガンに街づくりに取り組んできたのだ。
だからタワーはロケットの形をしているし、遊具も宇宙のイメージで作られている。
なお、臼田町は2005年(平成17)に合併のため佐久市となった。

タワーの近くまで来た。ガラス窓の少し下の位置に彫刻が据え付けられているが、これは四季の星座を表す彫刻だそうだ。
ケンタウルス座・ヘルクレス座・カシオペア座・双子座を表す彫刻だと説明板にあった。

正面にいるのはカシオペア座らしい。

タワーには、高さ11.1mの「展望室1」と、高さ21.9mの「展望室2」があり、そこから景色を眺めることができる。狭い階段を上って展望台1に到着した。
展望室1からの景色。遊具の形も宇宙船をイメージしている。

展望台を一周したら、壁面に天体に関する掲示物があった。

更に階段が続いているので上がってみよう。

展望台2では、窓枠に山の名前など景色の説明が記されている。

画像では字が読めないと思うが、正面中央の山は八ヶ岳の赤岳であることが分かる。
写真の下中央やや右に矢印があり、「ゆかりのまち岡崎市」と書かれていた。
後で調べたら、江戸時代末期に藩主だった松平乗謨(のりかた)が、奥殿(現:岡崎市奥殿町)にあった陣屋を田野口(旧臼田町田口)に移したことから、それを縁として1982年頃から岡崎市と臼田町とが交流を始めたそうだ。
現在は佐久市と岡崎市とで交流をしている。

その松平乗謨が建造した龍岡城址は東側にある。
この写真では判別できないが、中央の奥に見える山の麓の辺りだ。ここからは直線距離で1.7kmほど離れている。

もう少し北に移動する。
遠くに見えるのは浅間山。下にあるのは千曲川と臼田橋。
(左側3分の一くらいが少し白っぽく見えるのは、ガラスの反射。)

上の写真の位置から少し左側に移動してタワーのすぐ近くを眺めると、小さな建物と門柱が見える。これは佐久市水道の稲荷山配水池だ。この敷地は立入禁止。

塔を降りて、塔の北側を歩いてみる。
北側にはさきほど見た水道施設の他、さまざまな石碑が建てられていた。
昭和天皇の即位記念の碑(複数)、戦没者の慰霊碑、水道建設記念碑、地域に関係した人物の顕彰碑などだ。
北側の斜面を少し下ると、稲荷神社がある。

公園内を散歩して駐車場の方に戻ってきたら、音楽が鳴りだした。
何かと思ったら、塔の壁から天使が現れゆるやかに手を振ったり羽を動かしたりし始めた。
からくり時計だったのだ。
よく見ると、周囲にある星座の彫刻も回転している。

私は何も知らなかったのだが、たまたま12時に近くにいて見ることができた。
1日に3回(10時・12時・15時)作動するらしい。
普段は2枚目、3枚目の写真のように閉じている。

今回は当サイトでは珍しく築50年未満の建物について書いた。
以上でコスモタワーの話は終わりである。

桜は散り始めで、風が吹くと花びらが舞ってきれいだった。

甲信越地方

Posted by Sakyo K.