旧小笠原邸見学記(2)
前回の続きです。ダイニングを出て、パティオ(中庭)を見ながら玄関の方へ戻ります。パティオはスペイン建築の特徴の一つですが、ここから屋上に上ることができるようになっています。
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とりあえずパティオには出ず、このまま廊下を進みます。現在カフェとなっている部屋の横を通り、奥に進むと二階に上がる階段がありました。
二階のこの部屋は現在は改装されていますが、当時は和室だったそうです。女中頭など使用人の中でも位の高い人の控えの間として使われていたとありました。和室だったので、窓枠の高さも低めになっています。
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二階からは屋上に出ることができました。
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屋上の片隅の排水部分。壁に金具がついていますが、これはかつて屋上でテントを張るのに使った金具なのだそうです。テントを張って屋上でパーティーを楽しんだこともあったとのこと。
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パティオと屋上をつなぐ階段。
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屋上からは、青いスペイン瓦が見えます。
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こちらはパティオの風景。
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テーブルと椅子もありますが、見学者の方が座っているので上方向を撮影。
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小笠原長幹伯爵は芸術に対する造詣が深く、自分でも制作をしたそうで、パティオにあるこの彫刻は小笠原氏の作品だそうです。(ただし案内板にも「自身の作と言われています」とあったので、記録は残っていないのでしょう。)
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内部を一通り回ったので、玄関から外へ出ます。玄関を出る際に撮影。扉の上の装飾も小鳥がモチーフになっていますが、邸内にはあちこちに小鳥をモチーフにした装飾があり、以前は別名「小鳥の館」とも呼ばれていたとか。
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ということで、その一例を。
玄関ホールの天井にあるステンドグラスも鳩の図柄。このステンドグラスも(ラウンジのところで名前が出てきた)小川三知が担当したものです。ただし、現在のものは後の復元だそうですが。
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玄関です。ここから建物の脇を回って南側の庭に行きます。
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ここが、シガールームの外側です。
この外壁は小森忍の制作で、太陽や花など描いて「生命の讃歌」を表しているそうです。
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パーツが1600もあるそうなのですが、これが修復前はほとんど剥がれ落ちてしまっていたのだそうです。ここの修復は時間がかかり、レストランがオープンしてからも続いていました。(2003年5月完成)
近くで見ると、左下に陶板がはめ込まれています。
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上の写真から切り抜いたのがこれです。
「Sone & Chujo Architects. 1926.A.D.」とあります。曽禰中條建築事務所の作品であることが示されています。
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庭には噴水のついたバードバス。ここにも鳥のモチーフが。
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こういうのは何という名前なのですか?「ガゼボ」でいいのかな?
レストランのパンフレットによると、ここでウェディングパーティーを行なうこともできるのだそうです。
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というわけで、中から外までゆっくりと見学させていただきました。ありがとうございました。
一時は解体も決まっていた建物ですが、補修してこうして使われているとうれしくなります。やはり建物は使ってこそ、です。
(参考:小笠原伯爵邸のパンフレット)
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