「生きるため、描き続けた。」
念願だった国立ハンセン病資料館(東村山市)を訪れました。
現在開催中の企画展「キャンバスに集う~菊池恵楓園・金陽会絵画展」を見に行きたいと思っていたのです。
特に、この絵がステキだと思ったので。
国立ハンセン病資料館のサイトを見ると、7月13日~15日は館所蔵の金陽会絵画も展示されるとありました。そして14・15日には学芸員さんのギャラリートークもあるということだったので、この機会に是非お話も聴きたくて、出かけることにしました。
国立ハンセン病資料館は、1993年に開館した資料館です。当時は「高松宮記念ハンセン病資料館」という名称でした。2005年に新館建設のため一時休館し、2007年に国立ハンセン病資料館としてリニューアルオープンしたそうです。
さて、資料館に着きました。気になっていた絵が入口の看板にも使われています。
展覧会のタイトルにある「金陽会」というのは、九州のハンセン病療養所、菊池恵楓園で1953年に発足した絵画サークルです。1960~70年代には活動が停滞した時期もありましたが、1975年に内科医の原田三郎氏の指導により再び活動が盛り上がり、入所者約10名によって活動が続けられました。
当時は毎年一回開催されている園内での文化祭での発表でしたが、1980年に初めて外部での絵画展を熊本市で開き、以後、施設外での作品展を開催するようになりました。東京での開催は今回が初めてだそうです。
この絵画展の会期は2019年4月27日~7月31日までですが、7月13日〜15日には三日間限定の「金陽会絵画 館蔵品展」も開催されていて、今回のギャラリートークはこの館蔵品展の方で行なうそうです。
この写真は正門の脇にある掲示板ですが、左下に掲示されているのが、館所蔵品展のリーフレットです。
このリーフレットに使われている絵は、吉山安彦さんの「片隅の風景」という絵です。館蔵品展の中では私の一番好きな絵です。
館蔵品展は作品数は7点だったので、一つ一つの作品についてお話いただきました。
この作品についての解説で印象に残ったところです。
「この絵は1989年に描いた作品。人にあまり気に掛けてもらえない土管やカラスを描いた。今回の「キャンバスに集う~」の方に出す話も出たが、そちらには出さなかった。(1996年のらい予防法廃止など社会の変化もあり)自分の気持ちがもっと前に向くようになったから、この絵は今の自分ではない。」
メモしてなかったので正確に書けたか自信がありませんが、こういう趣旨のお話だったと思います。作者の方は現在90歳だそうですが、こうして「動いている・前進している」という姿勢がいいなと思いました。
「キャンバスに集う~」の会場も見ました。リーフレットに使われている絵は、奥井喜美直さんの「アマダイ」という作品です。奥井さんは2008年に亡くなられました。
また会場には、会員が表紙絵を描いた菊池恵楓園の自治会誌「菊池野」も100冊くらい展示されていました。かつては、園内の印刷所で入所者が印刷をしていた会誌です(現在は外部の印刷所)。
展覧会の図録があるのですが、なんと無料だというのです。私も一冊いただきました。
「菊池恵楓園・金陽会絵画展」は7月31日まで開催されていますので、多くの方にご覧いただければうれしいです。
常設展示の方も見てきました。(1)ハンセン病の歴史、(2)療養所の過酷な様子、(3)その中で生き抜いてきた患者や回復者の姿、をテーマにして、展示がなされています。
こちらもぜひ。
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