「建築の日本展」

2021-03-20

森美術館で開催中の「建築の日本展」に行きました。

会場に入って最初に思ったのはこんなことです。
「木に触りたい!」

会場入口にあったこの作品を見て…です。


北川原温《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 – 非営利 – 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

いや、思いとどまりましたけど。でも実際の建築には触りたいじゃないですか。

建築模型は,触ると壊れそうだからダメですけど,この大きさの木材は触りたくなりますよね。作品がダメなら、白木の柱を入口に立てて入場者が毎日撫で続けて、だんだん木の表情が変わっていくのを見ることができたりすると面白くないですか?

木造の模型では、見ているうちにだんだん近づいて触れそうになっちゃう人は他にもいて、係から注意されちゃったりもしてましたけど、やっぱりみんな木に触れたいんですよ。これは素材の魅力だ思うんですけど。プラスチックや金属の模型だと触りたいという気持ちがあまり起きないですよねえ。

展示の中には「待庵」の原寸再現がありましたが、そちらの方は中に入れるということで入場待ちの行列になっていました。私は列に並ぶのを断念してしまいましたけど、模型だけじゃなくて実際に手に触れて感じられる部分があるとうれしいですよね。

印象に残った展示

「大工秘伝書」
最初のコーナーに大工秘伝書が展示されていました。
その解説を読んだのですが,
「最初は門外不出であった木割の秘伝書が江戸時代には出版されてオープンになってしまった。そのため木組みの寸法や形状に工夫の余地がなくなり,工匠の関心が彫り物や彩色へ向かった」ということが書いてあったんです。
読んだ時はそうか、と思ったのですが,その後自分の中でしっくり来ていない状態です。本当にそういう流れで彫り物や彩色に関心が向いたんでしょうか。奈良平安時代だって極彩色の建築もあったと思うし,作り手の考えとして「ここで工夫できないからこっちで」という考えになるのかどうか。よく分かりません。

「厳島神社」
恥ずかしながら,今まで厳島神社の鳥居をじっくりと眺めたことがありませんでした。行ったこともないので、柱は普通の丸柱だと(勝手に)思い込んでいたんです。主柱があんなに自然の形のままだったとは知りませんでした。

「寝殿造」
源氏物語二条院復元模型が展示されていました。畳って部屋全体に敷きつめてあるわけじゃないんだなあなどと思ったり。

「東京国立博物館法隆寺宝物館」
実際に行ったこともあるのですが,自分のイメージの中ではなぜかこの建物をとても小さなものだと思い込んでいたのです。模型の中に配置されている人物と比べて、予想外に大きいことに気付きました。

「パワーオブスケール」
床と2面の壁面に映像を映して,実際の建築のスケール感を味わう展示。震災の時の避難所の段ボールハウスとか、同潤会のアパートとか、原寸で投影されていました。おもしろかったです。

「宮城県会議事堂」
明治15年に完成した宮城県会議事堂の写真と、設計時に検討のために作られた模型。この時代のものには関心があるので目が行きます。そのくせ、模型と実際の建築には差があると書いてあったのに、しっかり見比べませんでした…。

「シカゴ万国博覧会 日本館 鳳凰殿」
万国博覧会会場の鳥瞰図が展示してあって,日本館はどこか見つけようとしたけど,見つけられなかった私。一体どこを見ているのだろう。(あとでカタログ見てやっと分かりました。)

「後山山荘」
昭和初期に建築家の藤井厚二が、兄のために建てた別荘。すでに朽ちて崩れている状態でした。それを再生する過程が紹介されていて面白かったです。あとでサイトを見たら,有料で見学できるそうです。広島県福山市なので家からはちょっと遠いですが、機会があれば行ってみたいです。

なんかただ感想を羅列するだけになってしまいました。すみません。展覧会全体のテーマがどうとか、書けないのです。

会場では眺めるだけで精いっぱいだったので,カタログを買ってしまいましたよ。これから読み直して、自分の中で整理していこうと思います。

模型や写真をたくさん見たので,また現実の建築を見に行きたくなったのでした。