旧三井家下鴨別邸を見学
修学院離宮見学後、叡山電鉄に乗り出町柳駅まで戻って来ました。駅の近くには旧三井家下鴨別邸があるので見学をします。
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場所は下鴨神社の「糺の森」の南、高野川と鴨川の合流地点の北岸です。この地域は1898年(明治31年)に三井家が購入し、1909年(明治42年)に三井家の祖霊社「顕名霊社(あきなれいしゃ)」が遷座されたところなのだそうです。
説明板が設置されていました。
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この建物は、顕名霊社への参拝の休憩所として1925年(大正14年)に建てられたものです。建てたのは三井家10代三井八郎右衛門高棟(たかみね)です。
主屋・玄関棟・茶室から成りますが、主屋は1880年(明治13年)に建てられた木屋町別邸を移築してたもので、そこに玄関棟を増築したそうです。茶室は、それ以前にこの地にあった邸宅の一部を改修したとのこと。
戦後は国に譲渡され、1951年(昭和26年)から京都家庭裁判所の所長官舎として2007年(平成19年)まで利用されました。2011年(平成23年)に重要文化財に指定されています。現在は京都市が管理しており、屋根の葺替えや土壁の塗り替えなど修復工事を行なった後、2016年(平成28年)から一般公開が始まりました。
門から玄関へと向かう通路。
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通路から見える主屋の姿。特徴の一つである三階の望楼が見えます。右端に一部分だけ写っているのが玄関棟。
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玄関棟の正面に廻ってきました。ここから入ります。2019年現在、入館料は一般410円、中高生300円、小学生200円となっています。
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玄関棟の一室。説明ビデオの上映コーナーです。暑い中歩いていたので、映像を見ながら休んでいました。この窓と外の緑が気持ちよかったです。
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二階・三階には上がれないので一階を見て回ります。
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これは茶室へ渡る通路ですが、茶室は見学できません。でも別料金で茶室の貸し出しをしているみたいです。
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障子の間から緑。
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一階の座敷はCAFEになっていて、庭を眺めながら休憩することができます。夏季限定の「水出し玉露とわらびもちセット」700円とか「グリーンティー」500円などが人気なのではないでしょうか。自分はCAFEでは休憩しなかったので想像ですけど。
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余計なお世話ですけど。この施設って、見学時には靴を袋に入れて自分で持ち歩くんですよね。庭園にも出るから持ち歩くのも仕方ないとして、座敷でお茶するのに靴持ち込みはちょっと…改善した方が良くないですか?
CAFEは人数も限度があるからCAFE用だけでも下足置き場があれば、お茶を頂くのもより気持ちいいのではないかと思ったわけですよ。
主屋を一周した後、庭園に出てみます。庭園から見た主屋。茶室と同じように、主屋の二階の座敷も有料で貸し出しをしています。
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庭から見たら二階部分の照明が点いているのが見えました。今日もどなたか使っていらっしゃるのでしょう。
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庭の南の方まで来ました。
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顕名霊社の話ですが。下鴨の地では三井家による盛大な例祭が行われてきましたが、戦後の財閥解体を受け、下鴨の地は国有化されます。顕名霊社は再び油小路の三井総領家邸内に戻されました。
しかし総領家邸も1958年(昭和33年)に処分され、社殿は総領家と縁戚の福井松平家の氏神に譲渡されたのです。
ところが、その社殿も昭和末期に福井市の土地開発で撤去、御霊璽は東京・向島の顕名霊社に移されたとのことでした。(社殿は茨城県の有志が引き取ったそうです。)
下鴨別邸の話に戻りますが、一般公開では主屋は一階しか見られませんが、2月中旬~3月上旬の特別公開の時には2・3階も公開されるそうです。
過去の新聞記事を読んだところ、2007年に京都家裁の所長官舎として使われなくなった後、競売にかけられて解体されるという可能性もあったようです。その後、近代和風建築の調査で貴重な建物と分かったので、文科省の所管に移して、京都市が管理することになりました。
この写真は庭園の池ですが、この池も修復前は干上がっていたんだそうです。おそらくずいぶん荒れ果てていたのではないかと想像します。
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戦前の三井財閥の建物はほとんど残っていないそうなので、この建物を残すことができて良かったです。
(参考 旧三井家下鴨別邸パンフレット、三井広報委員会サイト)
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