佐久穂100年の記憶

長野県南佐久郡佐久穂町は、佐久市の南側に隣接した町だ。2005年に佐久町と八千穂村が合併して誕生した。
同町の生涯学習館「花の郷・茂来館」で、写真展が開かれている。

展覧会のタイトルは「佐久穂100年の記憶~古い写真を訪ね歩く~」だ。
開催期間は2024年2月23日(金)~3月5日(火)。(月曜日は休館)
これを見たくて、先日茂来館を訪れた。

展示はロビーで行われているので自由に見ることができる。

佐久穂町は2022年から「集落の話の聞き手」事業を始めた。「聞き手」を公募で集め、地域に分かれて80代以上の方を中心に話を伺うという取り組みだそうだ。
聞き取りの内容は2022年度末に冊子としてまとめられ町民に配布したという。

2023年は、「馬と共にあった暮らし」「方言」「古い写真」「やらなくなった行事」というテーマをもって聴き手活動を継続した。聞き取った話は「集落の話の聴き手だより」という形で毎月町内に配布している。

2023年7月の第1号に始まり、現在は2024年3月の第9号まで発行されている。
会場にその「聞き手だより」が置かれていて、持ち帰りできるとあったので私もいただいてきた。

今回の展覧会は「古い写真」をテーマにして聞き取ったエピソードを、写真とともに紹介するものだ。
これはイベントのチラシ。

会場の展示は図のように1枚のパネルに数枚の写真を印刷し、その下に聞き取りの概要を記した紙が掲示されている。さらに詳しい内容を印刷してファイルに入れたものがテーブル上に置いてあり、そちらを読むこともできる。
この展示方法は見やすくて良かった。

個人の所有する写真だけでなく、地区の公会堂で所蔵している資料や、地元の写真館の所有している写真も展示されていた。

写真自体はここに掲載できないけれど、印象に残った写真について書く。

佐久穂積駅開通記念の写真。
佐久穂積駅というのは現在の小海線八千穂駅のことだ。1919年に開業した時は佐久穂積駅という名前だった。
どうも開業のお祝いに仮装行列をしたらしく、みんな仮想姿で写真に写っているのだ。鉄道の開業が地域にとって大きなイベントだったことが伝わってくる。

奉安殿の写真。
当時の海瀬小学校の敷地に建てられた奉安殿の完成記念に撮影した写真。おそらく1929年(昭和4)~32年(昭和7)の間に撮影されたものらしい。
完成直後でまだ左右に足場も残っている建物の前に、建築に関わった人たち二十数人が写っている。中央に数人背広姿の人がいるがおそらく学校関係者だろう。

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実は、集落の話の聞き手の活動は、町が公式noteを公開しているのでネット上でも見ることができる。
上に書いた写真や、「聞き手だより」も掲載されているので、関心のある方はご覧いただきたい。
とても良い活動だと思う。

リンク:公式note「さくほ集落の話の聞き手