美和ダム(2)

美和ダムの堤体の上を歩いて、西側の端まで来たところだ。
突き当たりはトンネルになっていて、立入禁止だ。

ここで引き返すことになる。

美和ダムの堤体。堤長367m、堤高69.1m。

見下ろすと、美和発電所が見える。

前回の記事でダムの完成を1959年と記したが、発電所は1958年の2月から運転をしている。
しかし現在、発電所は改修工事中のため、2022年2月に発電を停止した状態である。
再開予定は2025年4月の予定だそうだ。改修後は、建屋に見学者用スペースが設けられるという。

ダムのゲートの近く。

再び発電所を見る。
この写真には写っていないが、橋の向こう側の左岸に、前回の記事に載せた排水口のようなものがある。

(前回の写真を再掲載)

現地ではその排水口らしきものの役割も知らないまま美和ダムの見学を終えてしまったのだが、あとで調べたらその役目が分かった。

ダムには土砂がたまる。美和ダムは運用開始直後から計画堆砂量を越える土砂がダム湖にたまっていた。土砂が貯まると、ダムの洪水調節機能や利水機能にも影響が出てしまう。
そこで、土砂対策のために土砂バイパス施設を作ることにした。

(この地図は左が北になっている。)

土砂対策の工事で作られたのが、土砂バイパストンネル、分派堰、ストックヤード、貯砂ダムの施設だ。

荒い土砂は貯砂ダムで止める。洪水時にそこを越えた土砂は分派堰で止めて土砂バイパストンネルに誘導する。
ダム湖に溜まった細かい土砂は、水位が高くないときに浚渫をして、ストックヤードに移す。ストックヤードは、長さ220m,幅40.5m,高さ5.5mあり、3万㎥の土砂を溜められるらしい。
ストックヤードに溜まった土砂は、洪水時に水と共にバイパストンネルでダムの下流に流す。
これでダム湖の堆砂が抑制できるらしい。

貯砂ダムと分派堰、土砂バイパスは2005年に完成した。
ストックヤードは2021年に完成した。
私が排水口かと思っていたものは、土砂バイパストンネル吐口だったのだ。

土砂対策工事のことを知らずに見学したので、残念ながら当日はストックヤードを見に行かないでしまった。また次の機会に確認しに行こうと思う。

三峰川総合開発工事事務所のサイトに、ストックヤード施設の試験運用の様子が掲載されているので、リンクを張っておく。

ストックヤード施設の試験運用を実施」(2023年6月2日)(pdfです)

なお、三峰川総合開発工事事務所は、再開発工事の区切りがついたため2024年3月末で閉鎖された。建物は天竜川上流河川事務所の分室として使われるという。

【参考】
国土交通省中部地方整備局・三峰川総合開発工事事務所」サイト

土木建造物

Posted by Sakyo K.