千曲市更埴文化会館

先日、更埴文化会館(信州の(めぐみ)あんずホール)で開催された清泉大学農学部の説明会について書いた。
今回はその会場だった文化会館の建物について書いていこう。
更埴市・戸倉町・上山田町が合併して千曲市が誕生したのは2003年(平成15)のことだが、
この建物はそれ以前、まだ更埴市だった時代に建てられたものだ。

当時の名称は「更埴市総合文化会館(あんずホール)」で、1990年(平成2)7月に開館した。
大ホールである「あんずホール」の他、小ホール、展示室・会議室のある棟を、インナーコリドーと呼ばれる回廊でつないだ建物である。
設計は芦原建築設計事務所が担当した。

上の写真は西側から見た建物で、左側が回廊の入口、右の茶色の屋根が大ホールだ。

回廊内に掲示されている館内案内図。

写真の文字は読めないので文章で説明するが、手前の白い部分がインナーコリドーと呼ばれる回廊で、左の黄色い部分が図書館、次のピンクの部分は展示ギャラリーや事務室、学習室などである。
中央の淡い緑色が小ホール、右側の青い部分が大ホールだ。

地下の部分には軽運動室やトイレがある。一般者が利用する部分ではないので書かれていないが、地下には電源や機械設備も収められている。

2階部分の配置図。同じく黄色部分は図書館の会議室や研究室、ピンク部分は会議室、右側はホールの2階席が描かれている。

ただ、この施設全てが1990年に建てられたわけではない。実は図書館は1980年(昭和55)に開館したものである。総合文化会館建設に合わせて改築・移動をし文化会館と一体化したのだという。(その話は別の機会に書こうと思う。)

建物の北側に沿って歩いている。
出窓のようになっている部分が数ヶ所あるが、その柱の色がそれぞれ異なっている。
これは、上の館内図の配色と一致しているようだ。

東側にやって来た。ここは図書館前の回廊。

東端の回廊の入口。西側の扉は青色だったが、こちらは緑色だ。

東西のドア両方に、この説明が貼られている。
屋根についての説明だ。

この会館の屋根はコールテン鋼と呼ばれる素材で作られているという。表面は錆びるのだが、その錆が緻密で内部まで腐食が進みにくいので耐候性があるということだ。
おそらく過去に「もう屋根が錆びているじゃないか」と市民から苦情を言われたのだろうなあ。

南側からみた図書館部分。

写真右側が展示ギャラリーや会議室がある棟で、その左側は小ホールだ。

西側から見た大ホール。フライタワーが高いので、こちらから見ると少し圧迫感があるな。

さて、総合文化会館が完成して13年後、2003年9月1日千曲市が誕生した。
その後建物名を「千曲市更埴文化会館」と変更して使用されてきた。

しかしその文化会館に災難が降りかかった。
2019年10月の台風災害である。(後に「令和元年東日本台風」と命名された。)
千曲市も千曲川が溢れて住宅全壊が1世帯、半壊が336世帯の被害が出た。
床上・床下浸水の被害は1600世帯以上だった。

文化会館は1階が床上浸水をして泥が流入した。
一番の問題は地下だった。
機械設備の大半が地下にあったため全滅したのだ。空調ダクトも地下ピットを通していたため使えない。地下は鉄筋コンクリートの躯体部分を残して解体し、清掃消毒して新規に復旧、設備も総取り換えすることになった。

1階の床は貼り替え、大ホールの客席椅子も交換をした。2022年(令和4)1月に工事が完了して4月3日に再オープンしたのだった。(使用予約受付は前年の7月から再開していた。)

ついでだが、あんずホールはその後も改修のための休館をした。
スプリンクラーと天井の改修工事のため2024年7月から11月まで全館休館、その後2月まで部分休館だったのである。

今後大きな災害もなく使い続けられることを祈りたい。

【参考】
 「千曲市更埴文化会館(あんずホール)災害復旧」(株式会社アーキプランのウエブサイト)

甲信越地方

Posted by Sakyo K.