旧三笠ホテル 訪問記
この夏は、長野県の軽井沢にある旧三笠ホテルに行きました。軽井沢駅から3.4kmくらい北にあります。
三笠ホテルは実業家・山本直良が創業したホテルで、1904(明治37)年着工、翌年に竣工しました。(営業は1906年5月。)山本は日本郵船や明治製菓の役員も務めた人物だそうです。
正面に解説の表示板が設置されています。
「木造純西洋式ホテルとしては我が国唯一のものとして高く評価され」国の重要文化財に指定されたそうです。(1980年5月指定)
続きは解説を引用します。(漢数字は適宜算用数字に置き換えました。)
「この建物の特徴は、設計・監督・棟梁が全て日本人で、施工は地元の人が当たりました。更に、デザイン的にも優れた技巧が随所に見られます。例えば、湾曲したブラケット(腕木)で支えられた軒、太い縁取りの窓枠、階段の手すり、木製のカーテンボックス等が代表的なものと言えます。」
(写真を挟みます。)
(解説の引用続き)
「三笠ホテルは、実業家山本直義によって明治37年(1904年)の夏の着工、二年後の明治39年(1906年)5月に営業が始められました。以来、幾多の変遷を経て、昭和45年(1970年)10月の廃業まで、軽井沢高原の瀟洒なホテルとして、明治・大正・昭和を通して多くの政財界人・文人墨客などが宿泊、会合等に利用し、現在は当地への来訪者に歴史的、建築学的に価値ある建物として脚光を浴びています。
昭和49年(1974年)に南側から現在地へ約70メートル移転し、昭和55年3月に(株)日本長期信用銀行から軽井沢町に贈与され、文化庁及び長野県の補助を得て町が保存修理工事を施工して保全にあたっております。
軽井沢町
軽井沢町教育委員会」
ということで、中に入ってみます。
現在の玄関。ロビーはこの写真からはみ出していますが向かって右側にあります。営業時はそこに出入り口があったようです。(上から3枚目の写真の、窓が開いているところに昔は玄関があったみたい。)
ロビーです。上にあるカーテンボックスの写真は、このロビーにあるものです。
この椅子は、実際に座ることができるものです。家族で撮影をしている方もいらっしゃいました。なお、家具の多くは展示物で、座ったり手を触れたりすることができません。
館内図を見ると、一階はロビーと居間、それからライブラリー(現在は展示室)があり、客室が5室、西側にトイレがあります。食堂・酒場・調理場は移転時に解体されたので現在はありません。また、北側に浴室棟(大浴室と個別の浴室が7室ほど)あったようですが、それも現存しません。
これは中央階段(現在の玄関の位置)の前からロビーの方向を見たところ。
一階の客室のひとつ。
これも一階の部屋。
一階のトイレ。
中央階段から二階へ。階段を上がったところに「テラス出口」と表示がありました。昔はポーチに出られたのだそうです。今はテラス自体がありません。
ここは客室ではなく、廊下の突き当たりにあるサンルームです。この雰囲気が好き。
これは二階の客室のひとつ。軽井沢彫の家具も置いてありました。
部屋にあった軽井沢彫の「つづら」です。これは昭和初期のものらしいです。部屋ごとに椅子や家具の形は違っていました。
二階は客室だけで、16室あります。一階と同様、西側にはトイレがあります。
二階のトイレ。う~む、これは開放感ありすぎでは?
一階に戻りました。中央階段下にプレートが。修理工事の記録です。
左側から、
「旧三笠ホテル 塗装及び部分修理(木部・内部漆喰壁・建具・塗装・雑)完了 昭和57年11月」
「旧三笠ホテル 部分修理(屋根部分・二階内部)完了 昭和59年10月」
「旧三笠ホテル 修理工事(外部塗装・木部修理・雑)完了 平成元年3月20日」
「旧三笠ホテル 屋根葺替・塗装及び部分修理(木部・外部建具・リノリュウム・他)完了 平成15年3月」
やはり建物はメンテナンスが大事ですね。
見学を終え、外に出ました。右側は客室とサンルーム、左奥はトイレ部分です。
道路との境から撮影。
最後の写真は、門の脇にあったものです。「三笠ホテル所有地」とありました。
なお、旧三笠ホテルは2019年12月末から改修工事のため閉館となる予定だそうです。数年間かけて工事をするそうなので、ご覧になりたい方は、今年のうちに。
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