ショーン・タンの世界展

2021-03-20

安曇野ちひろ美術館(長野県安曇野市)で開催中の「ショーン・タンの世界展」を見に行った。
今年は美術館に行くこともすっかり減ってしまったので、外出も久し振り。
美術館もいろいろ気を使っていて、現在は開館時間を短縮しており10:00~16:00の開館となっている。

マスクを着用して館内に入ると、まず来館者カードに日時と氏名・電話番号・来館人数を記入して、それからチケットを購入した。

ショーン・タンは1974年オーストラリア生まれのイラストレーター・絵本作家。
展覧会チラシに使われているこの画像は、2000年に出版された絵本「ロスト・シング」の絵。

軟体動物と蟹とだるまストーブが合体したような生き物「そいつ」と出会った少年が「そいつ」の居場所さがしを始める。

タンはのちにこの絵本を15分ほどのアニメーション映画にして、2010年に発表した。会場ではこの「ロスト・シング」の映画と、タンのインタビュー映像を連続して流し続けていた。
このご時世なので、スクリーンの前の椅子は間隔を空けてぽつんぽつんと置かれていた。

会場の展示作品の中で一番気に入ったのが「アライバル」。
移民をテーマにした絵本で、文字はない。

原画は全て鉛筆で描かれ、デジタル処理でセピア調に調整して、古いアルバムのような表現にしたそうだ。

じっくり見たくて、私も絵本を購入した。

大きな絵で見せるページと、小さなコマを並べたページを組み合わせて物語をつくっているのだけれど、架空の国の設定なので正体不明の場面がたくさん出てくる。
「読めない文字」「見たことのない食べ物」「よく分からない生物」「どうなってるのか仕組みがよく分からない社会」。
それらが言葉で説明されていないので、逆に、自分が移民として別の国に行ったときの不安な心理を想像できるように思う。

実際、著者のもとにも「まるで自分の国で起きていることのようだ」と、様々な国から反響があったそうだ。

この展覧会、見に行って良かったです。
長野展の次は、9月5日(土)~10月18日(日)に神奈川展が開催されるそうです。会場はそごう美術館。