旧都城市公会堂のポップアップカード

旧都城市公会堂のポップアップカード(2017年作成)を作り直した。
画像は,「都城商工案内 昭和9年版」(都城商工会議所/1934)からの引用だが,これを見ると向かって右側に1階部分が張り出していることが分かる。

他にも,気になるところはあったので、カードを作り直すことにした。

新たに作ったポップアップカードがこちら。
上の写真と同じような角度で撮影してみた。
ポップアップカードは奥行きが実物の建物ほどはないので,右側の1階部分が実際より手前にあるように見えてしまうが、まあ似た感じにはなったのではないだろうか。

少し離れて、やや上から撮影。

こちらは比較用の過去作品。これを作ってからもう5年以上経ってしまった。

変更点

・屋根の高さを低くした。以前のはちょっと高すぎたので、小さい建物に見えてしまう。それから軒の切り方を少し変えた。また、屋根を折りやすいように,折り筋に切り込みを入れた。
・玄関部分は,以前より少し後ろに下げた。
・玄関の階段部分の作り方を変えた。以前は折りやすさを意識して3つに分割して作っていたが,折り筋に切り込みを入れる方法に変更した。
・窓の周囲にはタイルか何か装飾のような縁取りがあったので、カードの方も切り抜きを増やした。
・建物の角の隅石風のデザインは細かくした。

というわけで、前よりは良くなったと思うのだけど。

実は,カードを作り直したのにはもう一つ理由があって,この建物の設計者が分かったのだ。
佐藤功一の設計であった。早稲田大学大隈記念講堂(1927年)(写真)や、群馬県庁舎(1930年)を作った、あの佐藤である。

都城市公会堂も1927年竣工なので、大隈記念講堂と同じ年に建てられていたのだった。

1953年に「佐藤功一博士」(田辺泰・猪野勇一編/彰国社)という本が出されており,国立国会図書館デジタルコレクションで確認できたのだ(送信サービスで閲覧可能)。
その本の「作品歴」というページに都城市公会堂も掲載されていて、「都城市公會堂(11月) 宮崎縣都城市、鉄筋コンクリート造、2階建、延坪281.58坪」と書かれている。

以前カードを作った時は設計者が分からなかったので、前の型紙には「設計者:不明」と書いていた。
しかし、実は名前を良く知っている人が設計していたということで、ちょっと驚いた。
そんなわけで,ポップアップカードを作り直すことにしたのだ。

メインサイトで再び型紙を公開しているので、もしよろしかったらお使いください。

【メインサイト】
旧都城市公会堂

【関連ブログ記事】
旧都城市公会堂 ~須田利信~」(2017.08.16)
都城市にあった建築たち(ポップアップカード)」(2017.08.27)