金沢市指定保存建造物

2025-06-18

金沢市には、指定保存建造物という制度がある。1982年(昭和57)に創設されたもので、金沢市のサイトには現在39の建物が掲載されている。一番最初に指定された建物の一つが、以前記事に書いたウィン館だ。(1983年指定)
今回は金沢市尾張町周辺を歩く中で、いくつかの建物の外観だけ見学したのでそれらを紹介したい。

最初の写真は、旧石川銀行橋場支店である。浅野川大橋から南に100mほど離れた交差点の脇に建っている。
1993年に市の保存建造物に指定され、その後2004年に国の登録有形文化財にも登録された。

石川銀行というのは実は、この銀行が破綻により閉鎖した時の銀行名なのだ。もともとは1929年(昭和4)に高岡銀行橋場支店として建てられたもので、合併で北陸銀行となった後に一度閉鎖された。
戦後、加州相互銀行浅野川支店となり、それが後に石川銀行に商号変更したのだ。
金沢市も国も「旧石川銀行橋場支店」と名づけたが、文化財として何を基準にして名称を付けるべきなのかを考えてしまう。

この建物は以前ポップアップカードを作成したので、メインサイトのリンクを掲載する。
ポップアップカード:旧高岡銀行橋場支店

ところでこの記事を書くために検索して知ったのだが、(旧)石川銀行のキャッチフレーズって「用もないのに石川銀行」だったの? ちょっと銀行としてマズイと思いますわ。

建物は、現在は金沢文芸館として利用されている。
これは東側から撮影した写真。
建物を上から見ると、不規則な六角形をしていて、そのうち3辺の角を丸くしてある。

ここから西へ60mほどのところに、旧三田商店がある。1992年(平成4)に指定された。この建物も、1997年に国の登録有形文化財に登録された。

説明板によると、1930年(昭和5)に輸入商・三田商店の店舗として建てられたものだという。

建物の角を丸めて正面玄関を設けた。

旧三田商店の横の道を南に歩くと、50mほど先にこの建物がある。
2003年(平成15)に指定された旧村松商店(村松商事株式会社ビル)だ。

糸卸小売商の自社ビルで、1928年に建てられた。こちらも国の登録有形文化財になった。(2004年)
鉄筋コンクリート造3階建で、金沢市内の民間建築としては早い時期のものだそうだ。

実はここから100mほど東南に、旧田上医院という市指定保存建造物があるのだが、下調べ不足で見逃してしまったのだ。また次の機会を狙おう。

国道159号に戻って西へ進む。
道沿いに旧森忠商店があったのに、全くチェックせず。和風建築だが屋根に望楼を設け、おもしろい建物なのにな。私が和風建築には詳しくないので見落としがち。

旧三田商店から西へ250m、福久屋石黒傳六商店も、1993年(平成5)に指定された市指定保存建造物だ。

1852年(嘉永5)建築だというから、今年で築173年である。
ネット上の記事では石黒薬局として営業しているという記載があったが(10年ほど前の記事)、現在営業しているか分からなかった。

その隣りにあるビルはこれは市指定保存建造物ではないが、気になったので撮影した。
実はこのビルは隣の石黒傳六商店の主、18代石黒傳六が1926年(大正15)に建てた石黒ビルである。当時は石黒ファーマシー本社と呼んでいた。
設計は武田五一だという。

写真から想像がつくように一階は以前コンビニが営業していて、現在はビル全体が空き家らしい。

今回はここで一区切りとしよう。
次の目的地は近くにある尾張町町民文化館である。この建物は金沢貯蓄銀行だった建物だ。市保存建造物の制度ができる前に、石川県指定有形文化財に指定された建物である。
こちらは中を見学できるので入る予定だ。

北陸地方

Posted by Sakyo K.