金沢建築館

谷口吉郎は、東京国立近代美術館や東宮御所などの設計をした、金沢市出身の建築家である。彼と子どもの吉生を記念した博物館「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」が、金沢市にある。
この建物は、谷口吉郎(1904-1979)が暮らした家の跡地に2019年に完成した。

道路の反対側から撮影すればもっと建物の形が分かりやすかっただろうに、近くからしか撮影しなかった。

建築館の設計は、子どもの谷口吉生(1937-2024)が担当した。
昨年亡くなられたが、長野市にある東山魁夷館は谷口吉生の設計だ。私も何回か入ったことがあるので、彼の建築にはお世話になっていたのだった。

入る前に建築館の前を歩いて別の角度からも撮影してみたけれど、分かりやすさはあまり変わらないね。

私が訪れた時は企画展「知と美の新拠点・小立野(こだつの) -石川県立図書館と金沢美術工芸大学ー」をやっていた。(会期:2024年12月22日~2025年6月15日)
全く予備知識もなく入ってしまったが、2022年に竣工した石川県立美術館と、2023年に竣工した金沢美術工芸大学についての展示である。この2施設は、小立野地区の金沢大学工学部跡地に建てられた建物だ。

私自身が良く分かっていなかったので、移転前の図書館と金沢美術工芸大学の位置を確認した。
小立野という地名は、住所の町名を参考にして薄黄色に着色した。旧図書館は兼六園や21世紀美術館の近くにあったんだね、知らなかった。
金沢市は小立野を新しい文化の拠点の一つにしようとしているようだ。

会場では最初にビデオを上映していて、そこで2つの建物についてレクチャーをしてくれる。だから知らない私でもだんだん状況が分かってきた。
一緒にビデオを見ている地元の方が図書館をかなり褒めていて、これは評判が良さそうな印象を受けた。

写真はビデオの上映会場だが、この景色が良かった。長野の東山魁夷館でもガラスの向こうに水が広がっている風景が見えるんだけど、似たような感覚を感じた。

展示会場には、県立図書館と金沢美術工芸大学の建物の説明や模型が並んでいた。これは図書館の模型。
市内に実物の建物があるんだから、どうせならそれも見た方がいいだろうと思い、後で図書館に行くことにした。

企画展のあとは常設展。
二階に上がると、ちょっと不思議な光景が待っていた。ガラス窓があるのだが、その先がほとんど見えないのだ。まるで霧がかかっているような印象。

この写真はガラスの近くで撮影したんだけれど、外の景色がこれくらいぼんやりとしか見えない。ここの雰囲気が面白かった。

常設展示は、東京にある迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭」の広間と茶室を再現している。谷口吉郎の設計で1974年(昭和49)に建てられたのだ。

こちらは広間の様子。

広間の前の広縁からは水庭が見える。ここは二階なんだけどね。

私は本物の游心亭は見たことがないのだけれど、何年も前に京都の迎賓館を見学した時のことを思い出した。

見学を終え建物を出たのだが、玄関脇にコンクリートの通路がある。道路に戻らずにそちらを歩いてみることにした。
そうしたら、犀川沿いまで下りる階段になっていて、思った以上に標高差があって面白かった。後でパンフレットを見たら、川岸と結ぶ回遊路をつくることも設計のねらいの一つだったと書かれていた。

北陸地方

Posted by Sakyo K.