旧陸軍伊那飛行場(3)

先日、伊那市教育委員会による旧陸軍伊那飛行場遺構の説明会があった。
残念ながら参加することはできなかったので、新聞・ニュース報道に基づいて今回の記事を書く。
なお、使用している写真は今年の7月に私が撮影したものである。

東側から見た、格納庫の遺構。
休日のため作業はしておらずブルーシートを被せてあった。

ニュースや新聞記事の画像を見ると、ここが格納庫の扉があった場所らしい。

報道によると、上の写真の中央のシートを外したところに4本の溝と金具が残っているのが見えるそうだ。
吊り下げ式の扉4枚がここに収納されたのではないかと推定されるという。

現在、伊那市創造館で開催されている展覧会「陸軍伊那飛行場とその時代2」には、格納庫の一部が写った写真や、格納庫の模型もあるので、それらを参考にしながら次の図を作図した。

おそらくこんな形だったであろうと推測して描いた。左側のコンクリート部分が、現在残っている部分である。

ここの地面はもともと西側が低い緩やかな斜面だったが、そこに盛り土をして格納庫を建てたらしい。

発掘のため掘られた穴を見ると、基礎部分は掘り下げて石を詰め込み、そこにコンクリートを打ったようだ。石を詰めたのは深さ1mくらいだろうか。
また、発掘によると基礎の柱は2mほど下まで打ち込んであったという。

本当は自分の目で、シートの下の溝や金具を見たかったのだけれど。

この場所に県道を通す計画があるので発掘調査をしているのだが、遺構の移設も検討されているらしい。
もし移設するとすればコンクリートをいくつかに切り分けて運ぶことになると思うが、写真を見ると基礎を持ち上げると崩れてしまいそうだ。

伊那市は、移築することも含めて保存方法を検討するというので、現時点では移築は確定したことではないようだ。(保存すること自体は、2015年の伊那市議会で決議されている。)
よい形で保存できることを期待する。

今回私は説明会が開催されることを知らず、ニュースを見て初めて知った。あとで確認したら、伊那市はきちんと2回もプレスリリースを出していたのに(8月6日と13日)、全く気づけなかった。
知っていれば参加したのに、残念だ。

【参考】
 「長野 伊那 旧陸軍飛行場の遺構 市民など対象に現地説明会」(NHK長野放送局/2025-08-20)
 「伊那市にあった旧陸軍の伊那飛行場」(テレビ信州ニュース/2025-08-20)
 「飛行場に戸袋の痕跡」(信濃毎日新聞/2025-08-21)
 「戦後80年:特攻隊若い航空兵もここから…」(長野放送/2025-08-22)

【関連記事】
 「伊那市創造館・特別展」(2025-07-29)
 「旧陸軍伊那飛行場(2)」(2025-07-30)