旧岡谷市役所見学(2)

(つづき)
階段を上りながら二階を見上げている。階段横の壁には円窓があるが、この形は建物の正面左右の窓でも使われている。

竣工時は二階の中央に市議会の議場があり、その西側に議長室や議員室、委員室などが並んでいた。
1965年に市議会議事堂が新築されて議会が移転したため、1階にあった市長室や助役室が二階に移転することになる。(ちなみに新築された市議会議事堂は1階は消防署、2・3階が議会という建物だった。)

この写真は西側にある部屋の一つで、もとは議員室だった。奥の壁に少々違和感を感じると思うが、実はもとは和室として作られた部屋で、後に洋室に変更されたのだという。

その隣の、もとは議長室だった部屋。

旧議長室の隣は、議員室だった広めの部屋。

この部屋の天井にはボードが貼ってある。竣工時の漆喰塗りの天井だと音が反響して聞きにくかったので、吸音材の天井を1959年に貼ったのだそうだ。

音についての問題は議場も同様で、議場は天井のほか壁にも吸音材を貼った。これは議場の天井の様子。

議場の西側の壁面。
もともとは正面の壁の手前には演台があった。
議場は議会がない時には催事場としても利用されていたので、演芸などのステージとしても利用されることがあった。
しかし演台があるために催事場のスペースが少なくなっているので、後に撤去された。

視線を南側に移すと、建物正面の円窓が見える。

議場の東側を見ると、不自然な壁がある。これはあとで事務室として使うために間仕切りとして壁を作ったのだそうだ。
新人王戦トーナメントと書いてある白いパネルと、すぐ右にある茶色のパネルは、映画撮影に使われたセット。

間仕切りで仕切られた部屋の内部。もともとはここも議場だった。

議場の東側にもいくつか部屋がある。
ここはもとは映写室だった部屋。右側の壁に投影用の穴がある。

この部屋は建物の東南の角にある部屋。もともとは議会関係の控室として使われていた。
今は修復途中の部材などが置かれている。手前にあるのは暖房のラジエーター。

東側の階段を下り、東玄関から外に出る。

庁舎の東面を見上げた。

これで、庁舎内ツアーは終了である。
一階事務室に戻り、最後はアンケートを記入して終了した。

現在は残っていないのでもう見ることはできないが、1957年に市役所の新館が増築された。
1975年撮影の空中写真で位置を確認できる。本館の北東側に接続されている建物がそれだ。
その北側には車庫や倉庫が連なっている。
1965年に建てられた消防署&議事堂も写真に写っている。

1987年(昭和62)、旧庁舎の北西に新たな市庁舎が完成した。設計は佐藤武夫設計事務所で、8階と9階部分が市議会議場になっている。
市役所はこちらに移転し、同年2月23日に旧庁舎の閉庁式が行われた。

閉庁後の旧市庁舎はその後岡谷消防署の庁舎として2015年(平成27)まで使われた。

昨年に旧市庁舎の耐震補強工事を終えた岡谷市は、旧庁舎保全基本方針検討委員会を立ち上げた。保全と利活用のための方針を、市民の意見も聞きながら3年掛けて練り上げる予定である。
今回のワークショップも、市民に庁舎の保全や活用を考えてもらうためのイベントだ。
なお、庁舎保全のための一般からの寄付も呼びかけている。

【参考】
 「旧岡谷市役所庁舎」(岡谷市公式ウェブサイト/2015-03-14更新)
 「旧市庁舎、バーチャル見学 来年度公開へ 長野県岡谷市」(長野日報/2025ー05-22)