「森と水と生きる」

8月28日(土)から、長野県立美術館で「森と水と生きる」の展覧会が始まった。
ところが、コロナウイルス感染拡大防止のため、9月3日(金)から12日(日)まで休館になるというのだ。
慌てて駆け込みで見学をしてきた。

入館したのが15:40くらいだったのでゆっくり見るわけにもいかず、少々早足で回ったのだが、思っていた以上に良かった。

画像はないので、印象に残った作品をいくつか書いていく。(パンフレットの一部分を撮影した写真を1枚だけ載せた。)

「富士山」小松均(1977年)
95cm×367cmという横長の画面を上下に重ねて展示してある。上の画面は富士山、下は富士の裾野の風景が広がっている。特に下の画面が良かった。

「森の掟」岡本太郎(1950年)
よく見る作品なのでなんとなく知っているつもりになっていて、実は全然しっかり見ていなかった。近くで画面を見ると、中央のファスナー付きの怪物だけでなく、左右の動物?たちもなかなかおもしろい。

「HOLY TREE」スズキコージ(2016年)
この人の絵は絵本で見ていて、絵柄としては余り好きな絵ではないと思っていたのだが、展示された180cm×425cmの画面を見たら印象が変わった。これだけ大きい画面を見ていると楽しく感じてきた。

次の展示室に入る。このあたりから時間を気にして少し早足になってしまう。

「わだつみのいろこの宮」青木繁(1907年)
重要文化財なのね。縦長の画面で、上部の左右がちょっとアーチ状になってるのも好き。

「Blue Pond」山本麻友香(2004年)
鹿角の少年と白鹿が水に浸かっている、なんか不思議な絵。

次の展示室へ。一度廊下へ出て、また最初の展示室の入り口のところへ戻る。今度は最初の展示室には入らず、手前の階段を下りることになる。ここでもう一度チケットを確認された。

階段を降りて行く時、壁面の上部に植物があるのに気付いたが、あまりきちんと見ないで下りてしまった。

実はこれが
「雑草」須田悦弘(2021年)
らしい。
作品リストを見ると木彫りに彩色をしたものだという。さっきの作品をしっかり見ないでしまった。リストによると作品は「雑草」2点と「葉」1点の計3点あるはずなのだが、「葉」というのはもしかして別の展示室にあったあれか? あの時は「あ、なんでここに葉っぱが?」と思っただけでよく見ずに通り過ぎてしまったよ。
確認のために再訪しなくてはならなくなった。

この3番目の部屋はけっこう好きな作品が多かった。

「ガーデニング(マンハッタン)」大岩オスカール(2002年)
高層ビル群を背景に、花が浮かんでいる。しかし街は静まり返っていて、死者にたむける花のように思えてしまう。

「鯨の目」シリーズ 大小島真木(2018~2019年)
海に浮かぶ鯨の死体を目にしたことをきっかけに制作が始まったという。3点の長さはそれぞれ6.58m、7.35m、15メートルある。天井からつるして展示されていた。

「龍-降臨17-1」「龍-出現17-1」岡村桂三郎 2017年
前者は295cm×480cm、後者は230cm×660cmという大きさで、厚さは9cmあるどっしりした板で出来た屏風だ。線を彫ってから着色しているようだ。眺めていると龍の体のあちこちに目が浮かび上がって見えてくる。

この展覧会の会期は、前期が8月28日~9月28日、後期が9月30日~11月3日となっている。前期と後期で展示替えをするのだが、これでしばらく休館になってしまうので、前期の展示期間が短くなってしまった。
木彫りの「雑草」「葉」は後期も展示されているので、展示替えをしてからもう一度見に行こうと思う。

***

駆け足で見て回ったので、閉館にはまだ30分ほどある。
2階の隣の展示室で「長野県立美術館名品展第1期」を開催しているので、そちらにも入った。

ここで私が一番じっくり見たのは、絵ではなく着物だ。
「友禅染訪問着・海の譜」熊谷好博子(1980年)
グレー主体の落ち着いた色合いの中、貝の絵が列を作って横に並んでいる。地模様は、板の木目を写したような模様も使われている。これはかっこいい。

県立美術館名品展の方は、作品リストにQRコードが記載してあって、これを読み取るとスマホで解説が見られるらしい。家に帰ってから気がついたので、その場では試していないんだけど。
音声が出るコンテンツもあるらしいので、イヤホンも必要だ。次回試してみよう。

というわけで、休館前に見て回ったのだが、なかなか面白かった。
繰り返すけれど長野県立美術館は、9月3日(金)から12日(日)までは休館です。

(注)9月11日(土)14:00からアーティストトーク(オンライン配信)が予定されているけれど、こちらは行われるようです。

見学を終えて、西側から。

写真の右上、奥に写っているのは「蔵春閣」という建物。1967年の建築。私は入ったことがないのだが、1階大ホールはイベントや結婚式披露宴会場としても使われ、屋上は野外音楽堂となっていたのだという。
2006年以降は城山公民館別館として使われていたが、老朽化のため2018年3月に閉館となり、現在は使われていない。もう解体されることは決まっているらしい。