古都奈良の情景〜明治・大正・昭和時代〜

2021-03-21

奈良市美術館(イトーヨーカドー奈良店5階)で「古都奈良の情景」という写真展が開催されています。

古い写真を見るのは好きなので,是非見たいと思い行ってきました。これはその時いただいたポスターです。

ブログの記事では前後していますが、実際は旧奈良監獄の見学より先にこちらを見ています。
美術館なので中の撮影はできません。
でも廊下にも何点か写真が展示してありました。ガラスに照明が反射して映ってしまっていますが、写真を掲載します。


上は,「奈良県巡査教習所」大正9年頃の撮影。
下は「奈良県知事公舎表門」昭和3年頃の撮影だそうです。(写真の提供はどちらも奈良市立飛鳥小学校です。)

巡査教習所というのは,戦前に設置された巡査養成機関です(現在の都道府県警察学校に相当します)。奈良県の巡査教習所がいつ設置されたのかは分かりませんでしたが,内務省が最初に巡査教習所を設けたのが明治12年。その後各府県に設置が進められ,明治19年には基準を決め,未設置の府県には設置を義務づけたそうです。
知事公舎の門は現在も残っているものですよね?(現地を確認してないのですが,ネット上の写真を見ると同じもののようです。)

会場内には300枚以上の写真が展示されています。
私が印象に残っているのは、明治時代に撮影された東大寺大仏殿の写真です。
…ボロボロだったんです。瓦は一部落ちちゃってるし,屋根は波打っているし,柱はなんか傾いているし。
現代の大仏殿しか知らないので,こんなにひどい状態だったとは思っていませんでした。
東大寺のHPによると、明治10年ごろから修理計画が検討されはしたものの,日清・日露戦争もありなかなか取り組めず、本格的な修理は明治39年からでした。このときの修理では鉄骨のトラスが組み込まれ、今も大屋根を支えています。「大仏殿落慶供養」が営まれたのは大正4年のことでした。

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写真展「古都奈良の情景」は,8月13日まで開催されているそうです。(原則:月曜休館)


最後の写真は,屋上に上って平城宮跡を撮影したものです。このときは私はまだ棚田嘉十郎のことも知らなかったのです。