旧豊郷小学校(2)
写真は旧豊郷小学校講堂の外観だ。本館の正面に立つと右手にこの建物が見える。
1937年(昭和12)に建てられた鉄筋コンクリート作りの建物である。

講堂にも玄関があるが、一般見学者はそこからは入ることはできない。講堂は本館と渡り廊下で接続されているので、本館を通って行くことになる。
正面玄関から廊下を右に進むと、旧昇降口があった。
1ヶ月の予定表を書く黒板が壁にある。

左側に少しパネルが見えるが、これは町内にある龍ヶ池・砂山池という潅漑取水設備についての説明だった。(これについては別の記事で書く予定。)
ここは渡り廊下。

旧豊郷小学校の校舎は一般に有料で貸館も行なっていて、申し込めば教室や講堂を利用することができる。講堂は音楽イベントや講演会などに利用されることを想定している。また、小学校の行事でも使うことがあるようだ。
利用中は一般見学はできないので、「使用中・立入禁止」のサインが準備されている。
講堂の玄関の内側。
イベントで利用する時はこの扉を開けるのだろう。ドアの上のガラスの装飾が良い。
右側の壁には、登録有形文化財の登録証と説明文が掲示されていた。

登録されたのは2013年(平成25)で、本館・講堂・図書館がそれぞれ登録された。
説明文には次のように書かれていた。
「校舎の南側前方に建ち、渡廊下で接続する。鉄筋コンクリート造平屋一部2階建一部地階付、校舎と同様に簡明で整然とした外観をもち、内部は一室の講堂と中2階のギャラリー、地下のボイラー室からなる。校舎、図書館とともに建設当時のモダンな姿を伝える。」
文化庁のサイトに掲載されている文章だろうと思っていたが、後で比べたら表現が少し違う。
文化遺産オンラインにはこのように書かれている。(2025-12-30閲覧)
「校舎の南側前方に北面して建ち、渡り廊下で接続する。鉄筋コンクリート造二階建、建築面積五一八平方メートル、南端の地下にボイラー室を設ける。校舎と同様のモダニズムを基調とした整然とした外観で、校舎、図書館とともに建設当時の威容を伝える。」
「モダンな姿を伝える」と「威容を伝える」ではかなりニュアンスが違う気がするが…。
「平屋一部2階」と「二階建て」というのも書き方が異なっている。
玄関ホールから撮影した講堂の入口。
では中に入ってみよう。

正面に演壇があり、木製の椅子が並んでいる。
天井と壁は白くて明るい。2009年に耐震補強と内部の改修を行なって、一般に開放されるホールとして生まれ変わった。

左にはピアノがあるのが見える。1928年にドイツのハンブルクから出荷されたスタンウェイのピアノだそうだ。現在も使われている。
他に誰も居ないので独り占めである。
ステージの左に掛かっているのは校歌の額だ。

豊郷小学校校歌。

校歌を作った藤川助三という名前をどこかで見たような気がしたのだが、1963年に出版された「豊郷村史」の主任編者だった。
校舎が完成して1937年5月30日に落成開校式が開催されたのだが、式で歌う落成式祝歌も彼が作っていたので、多分同一人物だろう。
せっかくなのでステージ上から講堂を見渡す。
奥には二階席が見える。

二階席に行くには、一度講堂を出て廊下の階段を登る。

二階席の椅子は階段状に並んでいる。

窓は下から操作して開閉するのだと思うが、機械式の開閉の仕組みがおもしろい。
一部は開閉機構を修理して使えるようにしたそうだ。

再び一階へ。木製の椅子の背もたれの裏は小物が置けるようになっている。

これで講堂の見学を終えた。最後はドアを開けて玄関ホールから撮影。

次は、旧酬徳記念図書館に行こう。
(つづく)
【参考】
「リフォーム・保存再生・耐震改修」(一粒社ヴォーリズ建築事務所ウェブサイト)






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