旧石川県庁舎本館 (2)
ここは旧石川県庁を改修した「しいのき迎賓館」の玄関。
照明が和風の感じもしてかっこいいな。

では中に入ろう。
玄関ホール。左側のドアの向こうには階段がある。右側に見える明るい部屋は、金沢の工芸品などを扱うセレクトショップだった。

玄関ホールの左側、受付横の壁面には「旧石川県庁」という表札と、説明板があった。

2002年12月末に閉庁した時、石川県庁という表札を外して、旧石川県庁という表札に掛け替えたのだという。「旧」のついた表札をつくるのはちょっと珍しい気がする。
迎賓館の改修工事が終わるまで掲げられていたそうだ。
ドアをくぐって廊下側に来た。ここの床はタイル貼りだった。
フロア案内を見ると、1階南側には事務室とセレクトショップ、それからイベント等で使えるギャラリーが2室ある。
北側はカフェと、観光案内所だ。

階段を上って二階へ。
二階はフレンチレストランと、会議室、イベントホールなのでそちらは特に見なかった。レストランは旧知事室を改装した部分があるらしいので見たい気もするが、私には敷居が高過ぎる。
左右の廊下は明るく現代的な作りだったので、旧県庁の面影を残しているのは、玄関ホールと階段など中央部分だけなのだと思う。(レストランは未確認。)
三階に上がって、階段の横から撮影。右側の壁にはステンドグラスの装飾がある。

三階には交流サロンという部屋がある。この部屋は玄関の真上にあたる位置にある。
ここも古い雰囲気を残している。「ご自由に入室できます」と書かれているので、安心して中に入る。

中にはテーブルや長椅子があって、休憩にも使える。壁際にはパンフレットなども置かれている。

ここの照明もいいね。

石川県によると、改修工事の基本方針は「外観は保存して損傷部分は補修、内部空間については歴史的価値が高い部分は意匠保存を行なう」というものだ。
交流サロンや中央階段も「意匠保存」ということなので、新たな部材で創建時のデザインを再現した部分が多いのだろう。
改修工事では、旧庁舎部分は1階の床と基礎の間に新たに免震層を構築し建物を免震構造化した。2~3階部分の梁には鉄骨梁を増設したという。
中央階段や知事室など、創建時の意匠を留めている部分は、既存の梁の幅を広げないよう梁の上端部にコンクリートを増し打ちしたり、炭素繊維で巻いて補強した。
旧庁舎部分と新築部分は分離されており、エキスパンションジョイントで接続されているそうだ。
交流サロンのドアの装飾。建具は使えるものは当時のものを使ったのだろうと思うが、どのくらい再利用できたのか私には分からない。ドアノブは新しいものが付けられていた。

3階にあるのはセミナールームや大学コンソーシアム石川の事務局などだったので、そちらは見学せずに階下へ下りる。大学コンソーシアム石川というのは、石川県内の大学・短大・高専が提携して、教育のレベルアップを図ろうという組織である。
ここは1階と2階の間の階段踊り場。
写真では分からないが、この右側の壁には、伝統工芸技法の漆塗りで仕上げた石川県の地図が掛けられている。1987年に設置されたもの。

というわけで、しいのき迎賓館の見学を終えた。
しいのき迎賓館の改修工事は、2011年度グッドデザイン賞を受賞したそうだ。
来館者数だが、最新の数字は見つけられなかったが、2021年4月時点で500万人を達成し記念セレモニーが行われた。
建物は使い続けることが大切だと思う。
【参考】
「免震建築訪問記ー石川県政しいのき迎賓館」(一般社団法人日本免震構造協会/2012)
「旧県庁舎本館南ブロック(しいのき迎賓館)改修工事」(石川県サイト/2013年12月12日更新)
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