北陸学院ウィン館
10年以上前に北陸学院ウィン館のポップアップカードを作って以来、機会があれば実際の建物を見学したいと思っていた。
今回、金沢市を訪れる機会があったので旧ウィン館も訪問する予定を立てた。

小立野通りを歩くと、道路沿いにウィン館の目立つ看板が立っているのですぐ分かった。門の脇には貼り紙があり、次のように書かれている。
「金沢指定保存建造物
種別 西洋建築
指定 昭和58年4月11日
旧ウィン館
アメリカ人宣教師 T.C.ウィンが設計し、明治21年に創建されたもので、下見板張り、ベランダなど典型的なコロニアルスタイル(植民地様式)の、市内では数少ない建物である。
金沢市」
入って左側にあるのは、同窓会館だ。

その前を奥に進むと、ウィン館の側面が見える。

建物の正面にやってきた。

あれ?ドアのところに何か貼り紙がしてある。
「休館中」…え?
事前に開館時間を確認して来たのに。
開館時間の問題ではなかった。
「休館中」の札の下に、今年の4月付で学院長の名前で出されたお知らせが貼られていたのだ。

「北陸学院ウィン館休館のお知らせ
平素より北陸学院の教育にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。この度、14年間にわたり歩んできました北陸学院ウィン館を休館いたしましたことをお知らせいたします。すでに2005年度計画のご案内を差し上げておりましたところ、急なご案内になりますことをお詫び申し上げます。
(…中略…)
これまで、およそ7千名あまりの方々にご来場いただきましたが、北陸学院創立140周年にあたる学院全体の改革に伴い2025年3月31日をもちまして休館をいたしました。長きにわたり多大なご厚情に感謝申し上げます。
(…中略…)
今後の北陸学院改革の中で、改めて皆様にも公開できる日を待ち望みたいと願っています。
(…後略…)」
文面から想像するに、今年度の計画を立てている段階ではまだ休館は決まっておらず、3月頃になって急遽決まったことのようだ。文書の発行日も4月とあるだけで日付は書かれていない。そんなところからも、慌ただしく文書が出された印象を受ける。
文書によれば建物の老朽化等の理由ではなく、学校運営上の理由らしい。
市の指定建造物であるし、学院も〝改めて公開できる日を待ちたい〟と言っているので、解体してしまうわけではないと思うが、事情がわからないのでなんとも言えない。
ウィン館は1953年に北陸学院保育短期大学附属第二幼稚園の園舎として使用されることになり、その時に内部の仕切りやマントルピースが撤去された。2007年に附属第一幼稚園に統合されるまで園舎として使われ、2011年から資料館として一般公開してきた。
今回内部を見ることはできなかったが、外観だけでも見ておこう。
玄関前はベランダのようになっている。(このように、1階にある地面より高くなっていて屋根付きの部分は何んて呼ぶのだろう?)

建物はウィンが設計したものの、ウィン自身は建築の専門家ではなかったので、施工した地元の棟梁による和風の技法も使われているそうだ。
正面二階に窓ガラスが入れられているが、竣工当初はなかった。幼稚園として使われることになった時に取り付けられたらしい。

建物を側面から見る。こうやって実物を見ると、自分の作ったポップアップカードの形は少し違ってしまっているところがあるな。作り直したくなってきた。

この壁面はだいぶ塗装が剥がれてきている。
今後補修等の予定はあるのだろうか。そして再公開の可能性は?

建物の中を見る機会が再び訪れることを願っている。
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