共立講堂
東京建築祭2025で、共立講堂を訪れる機会を得た。
共立講堂は学士会館の向いにある。
私が学士会館の周囲を見て歩いている間に、共立開館前の道路に多くの人が並んでいた。この日は午後2時の開館で、まだ時間前だったのだ。

共立講堂という名前はなじみがあるのに入ったことは一度もないという施設で、私は今回が初めての見学だ。受付が始まって列の人が入るのを待って、私も中に入った。
共立講堂は1936年(昭和11)8月に着工し、1938年3月に完成した。構造設計を担当したのは、東京タワーの設計もした内藤多仲(1886-1970)、意匠設計は前田健二郎(1892-1975)である。
共立女子学園の施設として建てられたが、学園が使用しない時には外部への貸し出しもできるようにしたためコンサート等にも使われ、私も名前だけは知っているという有名な施設だった。(1976年以降は一般貸し出しをしなくなったそうだ。)
玄関を入るとロビーのこんな照明に出迎えられる。

天井の照明が反射してしまったが、ロビーに写真が掲示されていた。
建築当初の建物はこのような姿だったらしい。

ところが1956年(昭和31)2月23日、火災が発生してしまう。1階の舞台裏から出火し、引き幕に燃え移り内部と屋根を焼き尽くしてしまった。
コンクリートの強度は保たれているということで、内部の大改修をし屋根を架け替え、外装もタイルの貼り替えなどをしたので建物の外観も変わった。
1年間で改修工事を終え、1957年3月の創立70周年記念式典をここで開催することができた。
なお、近年も2000年(平成12)に耐震補強と内部の改修工事、2007年に外壁タイルの貼り替え工事、そして2016〜17年には天井や屋根の耐震化工事が実施された。
ホールへの入り口。ドアの色合いと照明がいいね。

ホールに入ると、桜の図柄の緞帳が掛かっている。

並んでいるシート。ホールの内装や客席は2017年に改修されたものだという。

今まで約2000席あったものを、現代人の体格を考慮してゆとりを持たせ座席数は1769席となった。
なお建築当初はもっと座席が多く、2578席あったという。
後方を見上げる。

一度ホールを出て、階段を上がり2階席から入ってみる。ここは2階のロビー。

1階は横の壁面が煉瓦風のタイルだったが、2階はもっと明るい感じ。

再び1階へ降りてきた。床が少し傾いているので、椅子が斜めになっている。ここに座ったら落ち着かなそうだ。

椅子の上の壁には、緞帳の原画が掛けられていた。現在の緞帳は2003年に寄贈されたもの。

見学を終え、建物の側面を撮影した。

一般貸し出しを行なっていないので、東京建築祭での公開がなければ今後も入る機会はなかったであろう。多くの見学者を受け入れる施設の方々や建築祭のスタッフもいろいろ大変だろうに、ありがたいことだ。
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